嫁と不死鳥
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………恐い……恐いよ………しろ……白音…………ちゃん……」
「…………セーナ……」
白音にすがりつく誠菜。
悪い奴だよ。俺は。
この娘を恐がらせてるんだから。
異形存在の中ですら異形というわけでも、元々異形と関わる家だったわけでも、英雄の子孫というわけでも、復讐を誓ってるわけでも、生きるために仕方がないわけでも、死んだわけでも、チートなわけでもない。
ただの優しくて恐がりな一般人を。
俺はこっちの世界に引き摺りこもうとしているのだから。
俺は罵倒されてもいい。
否、されなくちゃいけないだろう。
でも、白音はこっちの世界の住人であり、俺がしてくれてることを分かってくれるから罵倒してはくれない。
誠菜は心優しいから罵倒なんかはしない。
一誠を連れてこれば良かったな。
あいつなら、ぶん殴ってくれるはずだ。
でも、この場にはいない。
誰も贖罪させてはくれない。
だから、俺が背負うしかない。
「誠菜。よく聞いてくれ。
君はこのままだと駄目だ。
いつか破滅してしまうだろうから」
告げる。
事実をありのままに。
誠菜の体の震えが増し嗚咽が聞こえる。
白音は何も言わずただ誠菜を抱きしめる。
「だから、俺は君に道を示すよ。
道は3つ。
このままでいること。
力を学ぶこと。
そして、俺の眷属になること。
よく考えて決めてくれ。
俺は外で待ってるから」
慰める役は俺じゃない。
白音の役だ。だから
「任せた。白音」
「はい。シャル兄様」
そっと二人の頭を撫でてから俺は部屋から出ていった。
◇◆◇◆◇
何十分過ぎただろうか。
まだ青かった空は朱色に染まり始めた。
俺はそれをただ眺めてる。
俺は空が好きだ。
でも前世の頃は嫌いだった。
何故だろうか。
何故昔は嫌いだったのだろうか。
何故今は好きなのだろうか。
意味もなくただ考える。
いや、今考えるべきなのはそんなことじゃない。
誠菜のことだろう。
破滅の道は論外としてどちらの道を選ぶのだろうか。
俺としては眷属になって貰った方が融通が利いて助かる。
人間のためより眷属悪魔のための方が周りを納得させやすいからだ。
その分早く動けるし、守りやすくなる。
だから俺としては眷属になって欲しい。
でもそれは俺のエゴだ。
人間でいれば、狙われるのは堕天使からだけだろう。
それだけならまだ守れなくもないし、この世界ではどうだか分からないが同盟さえ結ばれればどうにかなる。
だが、悪魔となればその後の闘争に巻き込まれるだろう。
禍の団は存在
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