DECIDE
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「しつこいなぁ。そんなにアーシアたんが欲しいなら、こっち来れば?俺っちは歓迎するッスよ?」
「誰がカトブレパスの子を迎え入れるものか」
「おやおや、これは苦しい。雇い主に言われちゃあ、仕方ないッスねぇ。そういうことなので倒れてくれませんかね?」
フリードの様子が先ほどとは違い、一歩一歩近寄ってくるものの殺気が段違いだ。おそらく、これから放とうとしているものは言葉とは裏腹に殺す気でかかってきていると見える。
「や、やめてください!フリードさんっ」
「うん?アーシアたん、どうしたの?」
「これ以上、センジョーを傷つけないで。私が行けばいいんですよね?そうしたら攻撃はしないでもらえますか?」
指先から溢れる優しげな光は千城の手を包み、千城の自分より大きな手に触れてアーシアは治療を行いながらカラワーナに、フリードに、そしてアヌビス神に語りかけているようだ。大人しく、優しい性格だと思っていたアーシアの豪胆な行動。彼女を思うゆえ、戦いに入ってきた際は大声を出すのが普段の千城だったが強い意志を秘めた目を見ていると言葉が喉に詰まって言うのをあきらめた。
張り詰めていた感情の糸が切れたことでDECIDEは霧消して千城の中へと戻り、膝をついてしまった。
「えーっ……どうします、カラワーナ様」
「本人がそういうならば連れて行け。カトブレパスの忘れ形見は動けないようだからな」
「待て!まだ終わってねェよ!」
アーシアが彼らのほうに治療を終えてから向かっていくと、アーシアは千城の方に振り向いた。その表情は悲しそうで最後に見たときとは違い、少なくとも天気は晴れやかでなかったし千城はある意味の衝撃を受けた。
さきほど、自分の手で護ると誓ったのに。
「大丈夫です、センジョー。黙っていたのは悪かったんですけど、また会えますから。……そんな顔しないでください、笑顔の貴方は素敵なんですから。―――大好きですよ、センジョー」
「アーシア!」
手を伸ばすも、カラワーナに言われてアーシアはフリードらと共に足を進める。最後に見たのは可愛らしい、はにかんだ笑顔ではなく悲しげな表情だった。手を伸ばそうとするも、引っ込めざるをえなかったアーシアを見て千城は無力感を感じた。
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