DECIDE
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鼓動も早くなる。フリードは千城は全く知らないのを知らず、口を滑らせた。アーシアが千城の裾を掴む。自分を想ってくれる彼だからこそ、危険な目に遭わせたくなかった。
この事実を教えたくなかったのだ、きっと昔と変わらぬ正義感とお人よしで渦中に飛び込んでくるから。
「だから、どうした?俺は俺のやりてェことをやるだけだ。追放されちまったなら、俺が護ればいい。ただそれだけだ、変わりやしないさ。違うか?エセ神父」
「へぇ、アツアツッスねぇ〜〜?どうするんスか?カラワーナ様」
音を消し、迅速的に、そして力強く拳を振るうと魔剣はその身を刃から現して拳を受け止めた。二ィ、とDECIDEの拳を受け止めて笑っている。まるで、カラワーナとの近接戦を窺っていたのだと主張するように。
―――今のも、覚えたぜ?
そう言っているように見えた。
「……つい熱くなってしまったが、目晦ましでもして取り戻せ」
「了解っと。行くぜ、『アヌビス神』!」
「誰が渡すかよッ!」
フリードがカラワーナの指示を仰いだ後、フリードがアヌビス神と呼んだ魔剣の名。何故か刃が伸びて見え、それが的確にDECIDEの拳を貫くと千城の中指が裂けて鮮血が噴出す。まるで果実の皮から撫でるようにナイフで切れ、果汁が溢れるように柔らかで滑らかな動作で。
『スタンドの攻撃が本体にフィードバックするタイプのようだなァ〜〜ッ?ざ〜んねんながら!』
「別にいいじゃねーか。別に厄だなんて思っちゃいねえ」
帽子が傷ついていないならば問題はないのだ。
帽子を血がドッと噴出したことで赤く染まった、その右手で帽子のエンブレムを擦りながら不適に笑ってみせる。半獣半人のスタンドヴィジョンを見せたアヌビス神はすぐに刀身に戻っていき、千城をせせら笑うものの千城はきっぱりと否定した。
「センジョー!手から血が……」
「あとで治してくれ。大丈夫だ、頑丈さには自信がある」
「アツアツッスねぇ!?」
DECIDEの拳をアヌビス神の側面で受け止めると、フリードは吐き捨てたように言う。
アーシアと千城のやり取りを見て気に入らないものがあったのだろう、突きがより一層激しくなる。拳で迎え撃っていたDECIDEと千城だったが、流石にそろそろ限界だったので腕を交差させて受け止めるが拳撃による攻撃さえも覚えてしまったようで攻撃をほとんど同威力で跳ね返された。
これでは本気のラッシュを繰り出してしまった後、吸収されてしまったら終わりだろう。
そのままの力を覚え、そして返してくるのだから。フリード自身の剣技もあり、ガードを崩す方法も心得ているようでパワーに頼りがちな戦法では身を滅ぼすのが先だ。どこまでスタミナが続くのか分からないし、底知れない相手なので観察が必要だが時間すらも与えてくれない。
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