第百九十九話 川中島での対峙その五
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「平手殿もわかり申したと」
「文で言っておるか」
「石山から運ぶとのことです」
「それは何よりじゃ、小田原の城はただの城ではない」
「巨大な城ですな」
「町すら囲んでおる」
堀と石垣でだ、小田原城はそうした城だ。
「あの城は普通のやり方でjは陥ちぬ」
「だからじゃ」
「ここはですな」
「あれを使ってじゃ」
「そして大軍で囲み」
「もう一つある」
それと加えて、というのだ。
「そのうえで攻める」
「あの城を」
「上杉の次は北条じゃ」
川中島で勝ったその後はというのだ。
「その用意は今からしておく」
「ですな、では」
「爺はこうした仕事が上手じゃ」
兵糧や武具を調達し戦の場まで持って来ることがというのだ。平手はただ城の留守を守っているだけの者ではないのだ。
「勘十郎もな」
「あの方も確かに」
「あの二人のこの度の戦での手柄は大きい」
戦の場には出ていないが、というのだ。
「褒美を弾まねばな」
「ですな、お二人の手柄は」
林は信長に笑みで応えた。
「蕭何の手柄ですな」
「漢の宰相のな」
「はい、あの者の手柄ですな」
「蕭何がいて高祖は天下を取れた」
劉邦のことだ、漢の始祖であり彼は漢中と関中を抑えそこを蕭何に治めさせ後ろを任せたことが天下を取れた要因の一つになったのだ。
「わしも同じじゃ」
「平手殿、勘十郎様もおられて」
「もっと言えば佐吉達もじゃ」
石田達もというのだ。
「あの者達の兵糧等の手配もな」
「あったからこそ」
「わしは戦えておるのじゃ」
「そういうことですな」
「戦は戦の場だけではせぬ」
「それ以上にですな」
「後ろがしっかりしてな」
そして、というのだ。
「そこから飯や武具が万全に届いてこそじゃ」
「戦えますな」
「そういうことじゃ、腹が減っては戦が出来ぬ」
よく言われていることだが信長も念頭に置いている考えだ。
「兵達も美味い飯をたらふく食ってこそじゃ」
「万全に戦えますな」
「織田の兵達は常に美味い飯をたらふく食っておる」
「それがよいのですな」
「そうじゃ、ではよいな」
「はい、北条攻めもですな」
「あれを小田原にまで持って来させてじゃ」
そうしてというのだ。
「北条とも戦うぞ、よいな」
「わかりました」
こうした話をしてだった、そのうえで。
織田の軍勢は前に現れた上杉の黒の軍勢を見た。信長はその軍勢を見てだ。
家臣達に対してだ、笑みを浮かべて言った。
「前に出て来る」
「では、ですな」
「これより」
「挨拶をしてくる」
これからだ、そうしてくるというのだ。
「そうしてくるぞ」
「はい、それでは」
「どうぞ」
「それではな」
こう話してだ、そしてだった。
信長は己の
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ