第三十九話 古都での死闘その十二
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「いや、いいことを教えてもらったよ」
「いいことを」
「僕はこのまま死ぬけれど生まれ変わった時に覚えていて」
そして、と言う怪人だった。
「使わせてもらうよ」
「ならそうすればいいわ」
「そうだね、それじゃあね」
「これでお別れね」
「うん、名残惜しいけれど」
怪人は命のやり取りをしてその命を奪った相手に対するとは思えない親しげな声で菖蒲に言った、そのうえで。
最後の言葉をだ、その菖蒲に言った。
「さようなら」
「ええ、また会いましょう」
生まれ変わった時にとだ、菖蒲も返してだった。
コモドドラゴンの怪人も灰となり消え去った、菖蒲も闘いを終えこれでだった。
二人は仲間達のところに戻った、だがすぐにだった。
黒蘭は眉を顰めさせてだ、そのうちの一人である薊に言った。
「わかってるわね」
「ああ、毒のことだよな」
「それのことだけれど」
「すぐに病院に行った方がいいよな」
「怪人は速効性と言っていたけれど」
「たまたま効き目が遅いってこともあるからな」
「そう、だからね」
それで、とだ。黒蘭は薊に真剣な顔で話した。
「すぐに病院に行きましょう」
「何処がいいかね」
「奈良市ならいい病院があるわよ」
菖蒲が薊に言って来た。
「八条グループの」
「あっ、そうなのかよ」
「八条グループは医療にも力を入れていて」
「病院もあるな、そういえば」
「そう、八条病院がね」
「奈良にもあるんだな」
「八条鉄道奈良駅の近くよ」
菖蒲はその場所のことも話した。
「そこにあるわ」
「ああ、じゃあここからすぐだな」
「そう、すぐだから」
「今から行くか」
「そうしましょう、ただ」
「ただ?」
「私の見たところだけれど」
菖蒲は今の薊本人を見つつ言った。
「平気みたいね」
「毒霧受けた時は一瞬くらってきたけれどな」
「それだけなのね」
「ああ、それだけだったよ」
それで今もというのだ。
「この通りだよ」
「平気なのね」
「全然な」
「そうなのね、けれどね」
「それでもだよな」
「お医者さんに診てもらうべきよ」
「だよな、やっぱり」
薊もこうしたことはわかっていた、何かあれば医者に診てもらうことは当然としてだ。そのうえで八条鉄道奈良駅の傍にあるその病院に入った。病院と同じグループの八条学園の生徒ということと幸いにして空いていることもあってすぐに診察を受けられた、そして。
その診察を受けてすぐにだ、薊は診察をした医師にこう言われた。
「特に何も」
「ないのかよ」
「はい、百足に噛まれたんですか」
「そんなところだよ」
「噛まれた場所も。それに」
「それに?」
「蛇の毒の様なものをお顔に受けられたのでしょうか」
医師は薊に頼まれてその全
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