第九幕その六
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味付けもです、乏しいからなのです。
「だからだね」
「同じ島国でもそこが日本と全然違うね」
「日本の食文化の豊かさときたら」
「それこそだね」
「世界一かも知れないよ」
そこまで素晴らしいというのです。
「江戸時代でも素晴らしかったからね」
「ふうん、昔からなんだ日本の食文化は」
「うん、お豆腐にお寿司に天麩羅に」
それに、というのです。
「お刺身にお野菜のお料理もね」
「豊かなんだ」
「そうだよ、何かとね」
それこそというのです。
「日本の食文化は江戸時代に花開いてね」
「それからなんだ」
「今に至るんだよ」
「江戸時代なんだ」
「今の日本の基礎は江戸時代にあるんだ」
まさにこの時代にというのです。
「食文化以外のものもね」
「江戸時代だね」
「そう、その時代にあるんだよ」
「日本の江戸時代っていうと」
ここで王子が思い浮かべることはどういったことかといいますと。
「あれだよね、ちょん髷をしていて着物を着ていて」
「時代劇だね」
「それに刀を持ってて」
「うん、そうだよ」
「それに木造の家に畳、麩で」
家等のお話もします。
「殿様もいるね」
「大体そうだよ」
「江戸時代って不思議な時代だね」
「学んでいてとても面白い時代だよ」
生粋の学者である先生にとってはです。
「あらゆることがね」
「そんなに面白い時代なんだ」
「あらゆることがね。それにいい時代だったみたいだね」
「あれっ、時代劇だと」
王子はここでも時代劇のことからお話します、王子が見ている江戸時代は一体どういったものかというとです。
「悪い代官や勘定奉行、商人がいたんじゃ」
「あれはお芝居だからね」
「実際はなんだ」
「ああした話はまずなかったよ」
「じゃあ年貢が重かったりとかは」
「むしろ欧州の方がずっと高かったね、税金みたいなものは」
先生は先生がこれまでいた地域のこととも比較するのでした。
「江戸時代の日本は年貢が軽かったんだ」
「あっ、そうだったんだ」
「だからお米が食べられないこともね」
「時代劇だと稗や粟のお粥だね」
「そうしたものを食べている人もいるけれど」
それでもというのです。
「そうでもなかったんだよ」
「お米をちゃんと食べていたんだ」
「茶粥という食べものがあるけれど」
「茶粥っていうとお茶を入れたお粥かな」
「そうだよ、お米のね」
「ふうん、そうしたものが普通に食べられていたんだ」
「奈良とかではね」
本当に普通に食べられていたというのです。
「朝とかにね」
「何か時代劇の中よりもいい時代だったんだね」
「そうだよ、昔の日本はね」
「それで先生も江戸時代の日本が好きなんだ」
「あの時代の日本にいたいとも思えるよ」
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