四十一話:不幸の始まり
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みつけている。しかし、そんなことで納得できるはずもなくルドガーは再びユリウスに説明を求める。だが―――
『必要ないと……言っただろう!』
そう叫ぶと同時に黒く禍々しい姿にユリウスは変貌しルドガーに襲い掛かって来る。その禍々しい姿に思わず、ギャスパーだけでなくアーシアとルフェイも悲鳴をあげてしまう。ジュードがとっさに襲い掛かるユリウスからルドガーを庇うが止め切ることが出来ずに結局、二人纏めて吹き飛ばされてしまう。
その後、何とか態勢を立て直してジュードと共にユリウスを撃破したルドガーであったが実の兄の変わり果てた姿に言葉が出ずに黙り込んだままユリウスを見つめる。ジュードはそんなルドガーに思うところがあったのだが今は列車を止めなければ死んでしまうので急いで運転席へと向かっていった。
『ひっ、何これ!?』
『この化け物が……うちの社員を! おい! さっさと殺せ!』
先頭車両にやってきたノヴァがユリウスの変わり果てた姿に悲鳴を上げ、ヴェランドが自社の社員の仇とばかりに怒りをあらわにし、ユリウスを殺すように命じる。しかし、ルドガーにとっては例え人殺しであってもユリウスがたった一人の兄であることには変わりがないので苦しそうに目を閉じて拒絶の意志を示す。
『兄さんを……殺せるわけがない!』
『かばうのか? この化け物を!?』
その様子に小猫は深い共感をする。もし、黒歌が世間一般で言われているようなただの凶悪なはぐれ悪魔だったとしても自分も殺せるとは思えない。恐らく、ルドガーと同じように拒絶するだろうと考える。
『優しいな……お前は……』
柔らかな、今朝ルドガーと話していた時と同じような声を出すユリウスにルドガーはホッとする。いつも優しい兄に戻ってくれたのだと、これは何かの間違いだったんだとそう思い、兄に近づこうとしたがその瞬間、一陣の風と共にユリウスの剣がルドガーの頬の横を突き抜けていく。
『だからっ!』
ノヴァとヴェランドが胸から血を吹きだしていきながら崩れ落ちていく。そしてその後ろには赤黒い血の付着したユリウスの剣が壁に突き立っていた。ユリウスが二人を殺したのだ、ルドガーがユリウスを殺さなかったために。
茫然と立ち尽くすルドガーにユリウスは近づきその首筋に剣を当てる。その様子にイッセーはルドガーから言われたある言葉を思い出す。『守ることを選べば相手を傷つけ、傷つけることを拒めば守れない』この惨状はルドガーがユリウスを傷つけることを拒んだためにノヴァ達を守れなかったのだ。その事実にイッセーはどうしようもないやるせなさを感じてしまう。
『来るなと言ったんだ!』
『やあああっーー!』
惨たらしい現実に八歳のエルは耐え切れなくな
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