四十一話:不幸の始まり
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めて槍をアルクノア兵の胸に投擲し、アルクノア兵を断末魔と共に壁に磔にする。
そして、それと同時に世界は歪んでいき、気づけばルドガーとジュード、そして少女とルルは列車の最後尾に戻っていた。そのことに訳が分からず呆然と自分の腕を見るルドガー。そして黒歌達もなにが起きたのか分からずに顔を見合わせている。取りあえずルドガーが少女の安否を確かめようと近づこうとするが少女はルドガーから隠れる様にジュードの背中に張り付く。
『えっと……』
『エルはエル。エル・メル・マータ』
『心配ないよ、エル』
『心配ある! その人も時計も変になったし!』
ジュードの心配ないと言う言葉にエルは否定の言葉を発する。そしてそのあからさまな拒絶の言葉がグサリとルドガーの心に突き刺さる。子供は純粋故に言葉を選んでくれない。ルドガー自身、確かにあの姿は子供には怖いだろうなと思うだけあって深くへこんで座り込んでしまった。そんなルドガーを気遣うようにジュードが話しかけて来る。
『えっと……僕、不思議なことに縁があって、四大精霊とか精霊の主とか、ね』
「精霊……やっぱり知らないわね。一体ここはどこなのかしら?」
「もしかして……違う世界とかは……ない、ですよね」
アーシアの言葉に全員が顔を見合わせる。本来であれば荒唐無稽の話であるが、ここまで自分たちのいた世界と共通点が無いとくればその線は十分に考えられる。それに以前アザゼルもそのようなことを言っていたと思い出す。そこで一先ず、彼女達は、ここは異世界だと決めることにした。
そして彼女達が話していた間にルドガー達は先程のジュードの登場と同じようにルドガーの同級生というノヴァとその上司であるヴェランドが現れて彼女から詳しい列車の状況を聞いていた。その時、黒歌がノヴァに対して警戒したように睨みつけていたのはご愛嬌だろう。
そしてノヴァから聞いた情報は白いコートのテロリストが乗客を無差別に殺害して回ったという物であった。それに対して特徴がマッチするユリウスが犯人であって欲しくないとそう思いながら再び車両を進んで行くルドガーであったが現実は非情であった。
先頭車両に到着したルドガー達を待っていた者は乗客と乗組員の死体が転がる中心で血だらけの双剣を手に持ち、返り血でその白いコートを赤く染めたユリウスであった。
『兄さ――『来るな!』――に、兄さん?』
『全部俺に任せろ……』
『何が起こっているのか教えてくれ』
『知る必要はない』
ルドガーも必死になってユリウスから説明を聞こうとしているがユリウスは断固とした拒絶の意志を示して何も答えようとしない。さらにはあの弟に向ける暖かな眼差しはどこにいったのだと思うような冷たい視線でルドガーを睨
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