四十一話:不幸の始まり
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に自分も鼻が高いと言わんばかりにユリウスの働きを賞賛し始める。それに対して謙遜するユリウスであったがビズリーを見つめるその目は実に冷ややかであった。
『しかし、こんな優秀な弟がいたとは、大事に守ってきたようだな。優しい兄さんだ』
ビズリーの言葉はそのまま受け取ればルドガーを褒め、さらにはここまで育て上げたユリウスをも褒めているように聞こえる。だが、ユリウスにとっては罵倒よりも怒りを駆り立てる言葉であった。その証拠に凄まじい殺気がユリウスから放たれ、あちらからはこちらに触れないと分かっている黒歌達にさえ、身構えさせた。
『……当然だろう!』
ユリウスの双剣が容赦なくビズリーの頸動脈に襲い掛かるが、ビズリーはそれをほんの少し顔を動かすだけで避ける。そしてその後もユリウスが幾度となく本気で剣を振るうがビズリーはその場から一歩たりとも動くことなく全てギリギリのところで躱していく。
「社長さん強いわね……只者じゃないわ」
「おう、しかもルドガーの兄貴も相当な手練れなのにこの差だ。これじゃまるっきり化け物だぜぃ」
「しかし、一度手合わせしてみたくもあります」
ユリウスの行動に驚いているリアス達をよそにヴァーリと美候、そしてアーサーの戦闘狂は冷静にビズリーの実力を分析し尚且つ戦いたいと話しあっている始末だ。そんな様子をユリウス達が知る由もなしに戦闘を続けていき、形勢が不利だと判断したユリウスが懐から二つの懐中時計を取り出して構える。
『パパの時計! …あれ!?』
ユリウスが持つ時計を自分の時計だと思った少女が一歩前に踏み出した瞬間、少女の胸元に本来の彼女の時計が光と共に現れる。その光景にユリウスもビズリーも思わず戦いの手を止めて時計に視線を向ける。とその時―――
『我々は認めん! リーゼ・マクシアとの融和など!』
『しまった!』
物陰から突如現れたアルクノア兵が無差別に銃を乱射し始めたのだ。そのうちの一つが少女に向かって飛んできたがルドガーがそれを双剣で叩き落とし事無きを得た。しかしながらアルクノア兵はまだ攻撃をやめずに一つの弾丸がユリウスの真鍮の時計に当って時計を跳ね飛ばした。時計は少女の胸元に飛んでいき少女の胸元の時計と重なり合い一つになったように黒歌達には見えた。そんな中ルドガーは少女を安全な場所に非難させるためにその手を掴む。
『な、なに? …あっ!』
ルドガーがエルの手を掴んだ瞬間、時計から黄金の光と歯車が放たれ、少女の体を通してルドガーに伝わっていき辺り一帯を照らしていく。そしてルドガーの姿は苦しみながらではあるが変化していきクオーター骸殻へと変身する。そしてルドガーはまるで溢れ出す力の苦しみから逃れるかのように渾身の力を込
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