四十一話:不幸の始まり
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の意識は集中する。
『そちらも、なかなかの腕をお持ちのようだ。私はクランスピア社代表、ビズリー・カルシ・バクー』
銀色の髪に大柄な体のビズリーがルドガーに対して手を差し出して握手を求めて来る。ルドガーはそれに対して若干迷ったものの握手に応じて自己紹介をする。
『ルドガー・ウィル・クルスニクです』
『ルドガー・ウィル・クルスニク……ユリウスの身内か?』
『本社のデータにありました。ルドガー様は、ユリウス室長の弟です……母親は違うようですが』
ビズリーの呟きに秘書であるヴェルが即座に反応してデータを調べ上げ、意味あり気に最後の部分を付け加える。その事実に黒歌達は驚きの声を上げる。どこにでもいる兄弟だと思っていたが腹違いの兄弟という事を知ると一気に暗く感じてしまうのは人の性だろう。
『そうか。では、私とも家族のようなものだな』
ほんの少しだけ笑みを浮かべながらそう言うビズリーの言葉はその時のルドガーにも黒歌達にも分からなかった。そんな時、突如として列車が大きく揺れてエルが小さく悲鳴を上げる。
『始めたな、アルクノアども』
『アルクノア!?』
『リーゼ・マクシアとの和平に反対するテロ組織です』
『連中は和平政策を支持する我が社を目の仇にしていてね。恐らくはこの列車を突っ込ませるつもりなんだろう』
『そんなの困る! エルはこの列車で“カナンの地”に行かないといけないの!』
エルの『カナンの地』という言葉にビズリーが反応を見せるがルドガーとジュードにとってはその一つ前の言葉の方が今は大事だったために、列車を止めるためにエルとルルをビズリーに預けて急いで先頭車両に向かう。再び出て来た聞きなれない単語に黒歌達も頭を捻るものの考えてもしょうがないとついて行く。その後ろ姿をビズリーが複雑そうな顔で見送っていたことに気づくこともなく。
『クラウディア……お前によく似た子だな』
場面は変わりルドガーとジュードが先頭車両に到着した場面になっていた。そして黒歌達の目に飛び込んできた光景は倒れ伏すアルクノア兵達と、その中心で骸殻から元に戻るユリウスの姿だった。
『ルドガー!? なぜ……』
ルドガーの存在に驚いて振り返るユリウス。その両手には銀の時計と真鍮の時計が握られている。しかし、ルドガーはまだ時計の力を知らないのか時計については何も言わずにどうしてここにいるのかと聞く。その問いに骸殻が見られていなかったと若干、安堵の息を吐きながらユリウスは仕事だと手短に言う。
『あ! パパの時計知らない?』
そこに消えた時計を探している少女とルル、そしてビズリーとヴェルが現れた。ビズリーは到着するとすぐに優秀な部下
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