四十一話:不幸の始まり
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顔でルドガーに声を掛けて来た。
『駅の食堂への初出勤だっていうのに、いい度胸しているよ』
ユリウスの言う通り、今日はルドガーの記念すべき初出勤の日なのである。それにも関わらず、ギリギリまで眠るルドガーに対して黒歌達も若干の呆れを見せる。ユリウスにそう言われると流石に気まずくなったのかルドガーはユリウスから目を逸らす。そんな様子にユリウスは『全くこいつは、可愛い奴だ』といった感じの暖かい視線を向ける。その様子に黒歌達はユリウスがかなりのブラコンであることを悟る。
『兄として一言、言っておくべきかな?』
『お願いします、兄さん』
『そうあらたまられると緊張するが……』
ユリウスは椅子から立ち上がりルドガーの元へと歩み寄り、元気づけるようにルドガーの肩に手を置く。そんな様子を見ていると兄というよりもどちらかというと父親みたいだなと見ていた黒歌達は何となしにそう思う。
『やっと決まったコックの仕事だ。しっかりやりなさい』
『ぷっ』
『笑うなよ』
やけに改まった様子のユリウスが面白かったのか、思わず吹き出してしまうルドガー。そんなルドガーの様子にこちらも少し笑いながらルドガーの頭に大きな手を置き、ワシャワシャと撫でまわすユリウス。
そんな子供相手の様な行動にルドガーは照れてその手を払いのける。小猫はそんなルドガーの様子にある種の新鮮味を覚える。小猫の知っているルドガーはいつも誰かを撫でる側であったので自分と同じように撫でまわされるルドガーには親近感を覚えた。
『ナァ〜!』
『ルルも腹が減ったてさ。飯にしよう』
『ああ』
ルルの声に反応したユリウスが素早くルルが何を求めているかを当ててルドガーに自分達も飯にしようと提案する。その提案にルドガーも頷いてキッチンに朝食を作りに向かう。その間にもルルは早く餌をくれとユリウスにアピールする。
そんな様子に黒歌はなぜ、ルルがこうも太っているのかを何となく察する。恐らくはユリウスがルルのおねだり攻撃に耐えきれずに餌をあげてしまうのだろう。ルドガーは健康管理には人一番、気を使うのでルルが太るほど餌を与えたりはしないはずだ。それにしても……立派なお腹だと黒歌は思う。
「白音はこうなったらだめよ」
「……姉様は私を何だと思っているんですか?」
そんな姉妹の会話がユリウスたちに聞こえるわけもなく、ユリウスはルドガーに今朝のメニューを尋ねる。
『シェフ、今朝のメニューは?』
『トマト入りオムレツだよ、兄さん』
『お前……俺にはトマト食わせとけばいいって思っているだろ? 間違っちゃいないけどな』
そんなユリウスの言葉に黒歌達はルドガーのトマト好きはユリウスからの
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