参ノ巻
死んでたまるかぁ!
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タベタしてんじゃないのよ!それはどうなのよ、それは!」
「俺はわかってやってるからいいんだ。だがピィ、おまえはわかってない。なんっにもわかってない!」
「はぁ!?わけわかんない!あたしが、何をわかってないって言うのよ!」
「俺が男だって事だ」
いきなり、惟伎高の声が低くなった。あたしはその急激な変化に息を呑み、思わずじり・・・と正座させたままの足を半歩下げた。それを追うように惟伎高の体が前に出る。
「そして、おまえは女だ」
「は・・・」
きっちり正座して向かい合っていたはずの二人の膝は崩れ、惟伎高の大きな腕であたしの体はあっという間に囲われる。あたしの両横に着かれた手。当然、そのぶん互いの体も近づく。
な、な、な・・・。
逃げようと腰を引き、俯くあたしの髪がさらりと深く降りる。それはまるで今のあたしの気持ちのように、惟伎高とあたしを強く隔てようとする。けれど惟伎高は、逃げるあたしを決して許しはしなかった。薄絹のようなそれを強引に割り入って、惟伎高の顔が近づく。いやもう、近づくなんてものじゃない。あたしはいつの間にか必死で目を瞑っているけれど、惟伎高の息が肌に触れているのがわかる。わかりたくなくても、わかる。それほどの距離。
「帰さないで、なんて言うな・・・」
あまく、優しくくちびるがあたしの睫を揺らす。あたしは息さえ出来ず震えた。
そのまま腰が浚われ、肩を押され、気がつけばあたしは押し倒されて惟伎高を見上げていた。惟伎高の顔は、怖いくらいの無表情だった。ただ瞳だけが燃えるように揺らいでいる。
ち、ちょ、ちょ、ちょっと待って・・・。え、う、うそ、うそ、嘘でしょ・・・?
あたしは状況についていけず、みっともないぐらい動揺していた。
「瑠螺蔚・・・」
惟伎高の顔が降りてくる。あたしは髪も腕も畳に押さえつけられて逃げられない。もう、だめー・・・と思った時だった。がちん!と惟伎高のおでことあたしのおでこがぶつかった!それは、本当に目から火花が散るぐらいの痛さだった。
「いっ・・・!」
「わかったァか、こォの、アホ娘!」
惟伎高はおでこを合わせたまま、ぐりぐりと容赦なくぶつけた場所を攻撃してくる。
「いた、いた、いたいー!」
「おまえはどうも、どうもだ、男を甘く見てるフシがァある。どンだけ温室育ちなのかは知らねェが、男を甘く見るなよ。本気になったら、力じゃ絶対に敵わねぇんだからな、いざそうなってからじゃ遅いんだァぞ」
あたしは嫌がって体
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