参ノ巻
死んでたまるかぁ!
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れはないわ!」
「おまえ・・・」
惟伎高はふいに真剣な顔つきになってあたしを見た。膝をつき、あたしの目の高さに屈んで、じっとあたしの瞳の奥を見る。
「・・・いいのか、帰らなくて」
そしてあたしに聞こえるか聞こえないかの小さな声で、ぼそりと言った。
あたしはその言葉に激しく胸を穿たれた気がした。
やっぱり、惟伎高は、なんでもお見通しなのだ・・・。
あたしは動揺に震えそうな体を奥歯を噛みしめて押さえつけると、その強い視線から逃げるようについと顔を逸らせた。
「・・・いい」
蚊の泣くような声。でもきっと惟伎高には聞こえただろう。惟伎高だけには。
「帰さないで・・・」
そう、言ってあたしは顔を戻した。強く惟伎高の瞳を見返す。帰らない。帰れないのだ、あたしは。それが、皆の為なのだ・・・。まるで、そう伝えようとでもするように。
惟伎高は驚いた顔をしていた。しかも結構本気で驚いている顔だ。あたしが帰らないことがそんなに驚くこと?いや、違う、あたし今・・・なんて言った?
我に返る前に、今度は惟伎高が顔を逸らした。
「・・・だあッ!」
「イタっ!なにすんのよ!」
そして何故かあたしの頭頂部に手刀を叩き込んだ。あたしは叩かれたところを押さえて、半分涙目で惟伎高を見上げる。
「ピィ!そこに座れ!」
「え?もう座ってるけど・・・」
「正座しろ!正座だ、ほら!」
「ええ〜・・・?なんなのぉ?したわよ?」
「よーし、いいか!おまえにはいくつか言っておきたいことがある!」
目の前の惟伎高も正座して腕を組み、なんだかいきなりお説教されるような雰囲気だ・・・。
あたしは疑問符を飛ばしながらも、とりあえず言われたとおりにしてあげた。
「まず確認だが、おまえは俺に惚れてないな?」
「は?嫌な冗談よしてよ。全然、マッタク、これっぽちも、惚れてないわよ」
「・・・ああ、まぁそうだろうとも。だがそこが問題だ、この悪女!」
「は、はあぁ?」
「そもそも、だ。惚れてもいない男と手を繋いだり、体に触れたり、押し倒したり、ましてや肌に唇を押しつけるなんて狼藉言語道断だ!本当に、俺じゃなかったらどうなってると思う!俺の言ってること、わかるか!」
「はぁ!?なにそれ、別にあたしだってしたくてしてるわけじゃ・・・それにあんただってあたしの服脱がせたり、抱きついたりベ
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