1部
37話
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「ヒジリー鋼線仕舞うの手伝ってー」
「自分の忍具くらい自分でどうにかしろ」
「ひどーい」
テンテンはぶつくさ文句を垂れながら、観客席に戻ってから蜘蛛の糸の鋼線についた血を拭き取りながら収納している。
あの忍具、一人で小隊を抑えられる性能を持っているものの色々と欠点があるのだ。
まず第一に蜘蛛の糸単体では大した効果はない。確かに無数の鋼線による包囲は脅威ではあるが、よく目を凝らせば極細の鋼線も見えないわけではないのだ。本命の鋼線さえ見切れば、蜘蛛の糸への対処はそう難しいものではない。
そうさせないためにテンテンのように起爆札付きの苦無で相手の注意を引きつけ、極細の鋼線へ注意を向かわせないようにする必要がある。が、それも使い手が鋼線の全てを把握しなければ叶わない事だ。
サスケのように火遁が扱えるのであれば鋼線を無視して攻撃することもできるが、それはもう一つの欠点により難易度が異常に高いのだ。
そのもう一つの欠点とは、使用者の定位置とも言える鋼線の上に立つにあたり、高度なチャクラコントロール能力とバランス感覚が求められるのだ。あの鋼線の上に立つという事は鋭く研がれた刀の上に立つ事と同意であり、下手な使い手があの鋼線の上に立てばそのまま真っ二つになる。
テンテンはそれを爪先に相当量のチャクラを集中させる事で扱っている。しかし、相手の注意を引くための見える鋼線の上とはいえその幅はわずか2ミリ、そこ爪先で立ちながら緻密なチャクラコントロールをしなければならない。
彼女はその上で糸にチャクラを通して忍具を操ることまでやってのけたのだ。
確かにテンテンは医療忍者としての適正はなかったようだが、チャクラコントロールに関しては頭一つ抜けている感があるな。
まったく、世の中とは随分と可笑しなものだな。医療忍者において最も必要な素質である緻密なチャクラコントロールはできるものの、医療忍術が扱えないというのは皮肉としかいえん。
「なぁ、あんた」
「なに?」
私がそんな事を考えていると、砂の傀儡使いのカンクロウがテンテンに近付いてきた。
「さっきの忍具はあんたが作ったのか?」
「これ?私は調整に関わっただけで作ったのはヒジリだけど……それがどうかしたの?」
「いや、傀儡師としてああいう忍具に対して興味があっただけじゃん。とはいえ、あの忍具を作ったのがよりにもよってあんたとはな……」
カンクロウは私の方を見ながらため息を漏らした。
「私が作ったのではなにか問題があるのか?」
「いや、改めて棄権して良かったとおもっただけじゃん。単純にその眼で俺が傀儡師だってバレてるなら、勝つにしろ負けるにしろ仕込みを晒さなきゃならないじゃん。
そんな状態じゃ、次の本戦でロクな目に合わないと判断したんだが……こんな忍具を作れるあんたなら傀
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