4部分:第四章
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第四章
「だから僕が代わりに。こうやって」
「それじゃあ坊主」
曹長は彼の話を聞き終えてからまた言った。
「頑張れ、そして勝とう」
「はい、勝ちます」
「お父さんの為にもイギリスの為にもな」
「イギリスは勝ちますよね」
このことを曹長に尋ねるヘンリーだった。尋ねるその言葉は真剣なものだった。
「ドイツに」
「勝つさ」
微笑んで答えるヘンリーだった。
「イギリスは今までここぞという時は負けていないんだからな」
「ここぞという時にはですか」
「スペインの無敵艦隊にも勝った」
まずはそこからだった。その時欧州に絶大な力を誇示していたフェリペ二世の誇るその大艦隊をだ。イギリスは打ち破ったのである。これは歴史にある通りだ。
「トラファルガーでもワーテルローでも勝ったじゃないか」
「ナポレオンに」
「あの男にも勝った」
次に話したのはこのことだった。ネルソンとウェリントン、彼等の活躍によってである。
そして。話はさらに続くのだった。
「前の戦争でもな」
「あの世界大戦にもですね」
「勝ったんだ。今度も勝つ」
曹長は断言さえしてみせた。
「絶対にな」
「そうですよね。イギリスは負けませんよね」
「坊主みたいなのはいるからな」
「僕みたいなですか」
「そうだ。だから負けないんだ」
ヘンリーを見ての言葉だった。
「いいな、じゃあお父さんの分まで」
「はい、戦います」
確かな顔で頷くヘンリーだった。戦いはまだ続いたが彼はずっと見張りを続けた。そしてある日のことだった。
「凄い数です!」
丁度昼飯時に彼が連絡所に飛び込んで来たのだ。
「八百!いえ千はいます!」
「千だって!」
それを聞いた曹長はパンを食べる途中で飛び上がってしまった。
「本当かい、それは!」
「はい!見て下さい!」
「見て下さいってまさか」
咄嗟に外に出て空を見上げる。すると。
信じられない数だった。空を埋め尽くさんばかりのメッサーシュミットにハインケル、それにユンカースがあった。確かにその数は。
「いるな」
「千、いますよね」
「ああ、間違いない」
唖然としながらヘンリーに応える。
「どうします?これって」
「すぐに連絡しよう」
そう言ってだった。連絡所の中に戻ってすぐに連絡した。しかし今回はそれで収まらなかった。
ヘンリーは呆然となって上を見上げている。曹長もそれは同じだ。ヘンリーはその曹長に対して尋ねた。
「あの、曹長」
「何だい?」
「これだけの数の敵がロンドンに行ったら」
「ああ、まずい」
これだけははっきりとわかった。言うまでもなかった。
「まずいどころじゃない」
「終わりですよね、ロンドン」
ヘンリーは言った。
「あれだけ来たら」
「そう
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