第七十四話
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! そのあくまくんは敵じゃないヨー!」
……攻撃を開始する直前に、横に現れた鏡から発せられた、アリシャ・ルーの言葉で押し止まる。言われてみれば、あの悪魔に翼はなく、どうやってこの高度に維持しているのかと思えば、シリカの輸送用の飛竜を含む、ケットシーの飛竜たちが足場になって踏ん張っていた。いや、飛竜だけでは足りなかったのか、精鋭部隊たるドラグーン隊までもが足場を支えていた。
「精鋭部隊が足場にされたのは、おねーさんのハジメテだヨ……」
どことなく哀愁を感じさせる言葉を最後に、鏡は割れてアリシャ・ルーの姿は消える。守護戦士たちも、その悪魔に攻撃を集中させようとしているらしく――なにせ面積が大きいから狙いやすい――今まで戦っていた俺たちを放置してまで、その悪魔の方に向かう。
「今だ! シルフ隊、奴に守護戦士を近づけさせるな!」
そこに後退していたシルフの精鋭部隊が一気呵成に現れ、悪魔に近づこうとする守護戦士たちを、いとも簡単に排除していく。その一太刀で守護戦士を二体は炎と化し、長剣が煌めく度にそこから放たれた光が、矢と化して守護戦士を貫いていく。さらに、シリカの飛竜の防御についていた重戦士たちも、悪魔を守らんと鉄壁の守備を固めていた。
「サクヤちゃんズルいヨ! シルフばっかりカッコイイ役目!」
「そんなことを言っている暇があるなら、早く飛ばせルー!」
後方支援に徹していた領主サクヤも、その悪魔の進路にいる敵の排除へと向かう。そしてケットシーの飛竜たちが飛翔すると、悪魔の巨大な腕の射程に、天蓋に張り付いた蜘蛛を捉える。
蜘蛛は先んじて巨大な糸による防壁を張り、悪魔の腕が届かぬように守りを固めるが、糸の防壁を張った瞬間にその防壁を、近くにいたプレイヤーに切り裂かれた。
「さっさとやっちまえ!」
『ハァァァァァ……』
悪魔はその声に応えるように、ゆっくりと蜘蛛に手を伸ばすと、思いっきり握り潰さんとするように蜘蛛を掴む。蜘蛛も散弾銃のような糸で抵抗するものの、プレイヤーを捕縛するための糸では、サイズがまるで違い抵抗は意味をなさない。新たに出現した守護戦士たちも、出て来た瞬間にシルフの精鋭部隊に落とされるか、悪魔が吐く爆炎に包まれるかのどちらかでしかない。
「ショウキさん!」
俺も負けじと守護戦士から悪魔を守っていると、サクヤの肩に乗っていた筈のユイが、俺の目の前を飛んでいた。反射的に叩きそうになった手を抑えながら、やってきたユイをポケットに入れる。
「……ああ!」
ユイが言わんとしていることを察すると、近くにいた守護戦士を蹴り飛ばした後、守護戦士たちの白銀のリメインライトが舞う空を、天蓋に向かって飛んでいく。全戦力が投入された今、一時的ながらも守護戦士たちの物量
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