2部分:第二章
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第二章
「坊主の力も借りないとな」
「イギリスの為に。それと」
「それと?」
「お父さんの為にここにいます」
不意に自分の父のことを話に出してきた。下士官はそれを聞いてまずは目をしばたかせてそのうえで彼に対して問うのだった。
「お父さんって?」
「お父さんはフランスに行ってたんです」
そのフランスでの戦いである。アルデンヌの森を突破したドイツ軍に破られダンケルクから撤退したその時の戦いのことである。
「それでそこで負傷して」
「そんなことがあったのか」
「お父さんは今は戦えないです」
彼は言った。強い声で。
「それなら僕がかわりに戦います。ですから」
「よし、わかった」
下士官はヘンリーの心を受けて頷き。そのうえで告げたのであった。
「それならな。ここでずっと戦うんだ」
「いいんですね。それで」
「ああ、戦うんだ」
また彼に対して告げた。
「あとわしの名前を伝えておこうか」
「何ていうんですか?」
「ガッシュというんだ」
それが彼の名前だというのである。
「リチャード=ガッシュ曹長。まあガッシュでも曹長でもどちらか好きな方で呼んでくれ」
「わかりました。じゃあ曹長」
「うん」
ヘンリーが選んだのはこちらだった。階級で呼ばれて微笑みを向ける彼だった。
「これからも宜しく御願いします」
「こちらもな。さて、戦いは厳しいぞ」
曹長は前を見た。その海をだ。
「ドイツの奴等はどんどん来るからな。坊主も敵を見たらすぐに知らせてくれよ」
「はい」
ヘンリーもまた前に広がる空を見ていた。ドイツ軍がやって来るその空を。見据えて彼の戦いを果たそうと決意するのであった。
ドイツ軍は何度も何度もドーバー海峡を越えてきた。その都度ヘンリーはテントの側から自転車に飛び乗り。そのうえで近くの連絡所に詰めている曹長に対して報告するのだった。
「来ました!」
「そうか、数は」
「三百です!プロペラが一つのやつばかりです!」
「メッサーシュミットとスツーカか」
エンジンが一つと聞いてこの二種類をすぐに思い浮かべた曹長だった。メッサーシュミットは戦闘機であり細長いシルエットだ。スツーカは鴎を思わせる翼を持った爆撃機だ。どちらもドイツ軍の誇る航空機でありイギリスにとってはそれぞれ違う意味で厄介な相手である。
「それが来たか。三百か」
「はい、何か鴎みたいなのの方が多いです」
「割合は?」
「鴎が六です」
ヘンリーはこう答えた。
「それだけです」
「わかった、スツーカが六か」
話を聞いて頷いた曹長だった。
「じゃあすぐに報告するよ」
「御願いします」
「有り難うな、今日も」
連絡を終えたヘンリーに対して礼を述べる。そしてすぐに電話と電報で連絡を終えてそのうえでまた彼
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