29辛い過去後編
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
次の日朱乃さんにイッセーを連れてミカエルとあってほしいと頼まれ指定の神社にきた
イッセーを無事にミカエルの下まで連れて行き、『アスカロン』を受け取らせたあと、ミカエルにも俺の造った聖剣『緋月・黒』を渡してから帰り、俺はイッセーと木場たちにギャスパーの訓練任せて俺は朱乃さんの家に招かれていた。
「お茶ですわ」
「ありがとうございます」
向かい合って朱乃さんとお茶を飲む。
朱乃さんと2人っきりのお茶会、すごく嬉しいんだけど……先ほどから朱乃さんの表情は重い……なにか大事な話でもあるのか?
「ヤマトさん……」
「はい。なんですか?」
訊ねると朱乃さんは恐る恐るといった感じで言う。
「私の話を……私のことを訊いてもらってもいいですか?」
真剣な表情――。俺も真剣な表情でうなずいた。
「以前コカビエルが言ったと思いますが、私はバラキエルの……。私は堕天使の幹部バラキエルと人間の間に生まれた者なんです」
朱乃さんはゆっくりと語り始めた。
「母は、この国のとある神社の娘でした。ある日、傷つき倒れていた堕天使の幹部であるバラキエルを助け、そのときの縁で私を身に宿したと聞きます」
ってことは朱乃さんは堕天使と人間のハーフか?
そんなことを考えていると突然、朱乃さんが背中から羽根を生やした。
いつもの悪魔の両翼と違い、片方が悪魔の翼で、もう片方が堕天使の黒い翼だった。
「汚れた翼……。悪魔の翼と堕天使の翼、私はその両方を持っています」
朱乃さんは堕天使の翼を憎々しげに手に持っていた。
「この翼が嫌で、私はリアスと出会い、悪魔となったの。――でも、生まれたのは堕天使と悪魔の羽、両方を持ったもっとおぞましい生物。ふふふ、汚れた血を身に宿す私にはお似合いかもしれません」
自嘲する朱乃さん。俺は朱乃さんの目を見て言う。
「俺は朱乃さんが好きですよ」
「――えっ?」
「出生のことなんかは抜きで、俺は朱乃さんが好きです」
「私は堕天使でも悪魔でもない、おぞましいバケ―」
最後まで言わせない。
「朱乃さんはおぞましくなんかありません。バケモノでもありません。俺にとって朱乃さんは堕天使だとかそういうもの抜きで素敵な先輩ですよ。俺は部室で飲む朱乃さんのお茶も好きです。朱乃さんの笑顔が好きです。堕天使の血なんて関係ないんです。朱乃さんだから好きなんです」
俺の言葉を聞いて、朱乃さんは泣いていた。
「私……、私だから……?」
俺は朱乃さんの堕天使の羽根を手でなでた。
「はい。朱乃さんだからです。朱乃さんが自分に流れる堕天使の血が嫌いなら、俺がその血ごとあなたを愛します」
ちゅ。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ