29辛い過去後編
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いていく。まるでここから早く俺を遠ざけようとしているかのように。
◆
コツコツコツコツコツコツッ! 神社の石段を降りるリアス様の足音は怒りに満ちたものだった。
その後からついていく俺だったが、石段の半ば辺りでリアス様は石段を外れて、森の中へ俺を引きずり込んだ。
完全に前後左右木々で囲まれた森の中で部長が立ち止まり、うしろを――俺のほうへ振り返った。
「……ねぇ、ヤマト」
暗い表情のリアス様。
「はい」
「朱乃は……朱乃なのね」
「はい?」
「朱乃は副部長。けれど『朱乃』なのね……私は?」
えっと……。
「部長……ですよね?」
俺が「部長」と答えたとき、部長は肩を落した。
「………………そうね。私は部長だわ。――でも『リアス』なの」
すごく気落ちしてしまった声のトーン。まさか――。
「リアスって呼んでもいいんですか?」
「え?」
少しだけ驚いたようなリアス様。
「リアス様が許可してくれるのなら。俺はこれから『リアス』と呼びます! というか呼ばせてください!」
俺が両肩を持って言うと、リアス様は真っ赤になって俯いて小さな声で「いいわよ」とつぶやいた。
心を込めて名前を呼ぶ。
「リアス」
するとリアスからもかえってきた。
「ヤマト」
嬉しいそうな顔と恥ずかしげな顔がまじった状態でにつぶやくリアス様――いや、リアスを抱きしめ、唇を交わした。
続く
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