29辛い過去後編
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唇で口を塞がれた。っていうかキスされた!?
「……殺し文句、言われちゃいましたわね。……そんなこと言われたら……本当に本気になっちゃうじゃないの……」
ほ、本気?
朱乃さんは俺の両肩に腕を絡め抱きついてきた!?
「あ、朱乃さん?」
対応に困り、咄嗟に抱きしめ返した俺の耳元で朱乃さんが囁く。
「決めましたわ。私、決めました。ヤマトくん、」
「はい」
「リアスは特別なのよね?」
「はい、そうです」
「……そうよね、あちらも本気でアプローチかけてるし、同じ家に住んでるんだし、本妻は無理ね。」
えっと? いったいどうしたんですか、朱乃さん。
「ねぇ、ヤマトくん」
「は、はい……」
「何番目でもかまいませんわ」
「え?」
「そう、ヤマトくんなら何番目でも――何番目でも愛してくれそうですし。それに聖のフェニックス――私の憧れ、ヤマトくんに愛を注いでもらえるんですもの。これから楽しくなりそうですわ」
なにやら1人で盛り上がっている朱乃さん。
「ねぇ、ヤマトくん。『朱乃』って呼んでくれる?」
「い、いいんですか?」
「ええ。私が呼んで欲しいんですの」
「じゃ、じゃあ――朱乃」
「……うれしい。ヤマト……」
ぎゅっ。俺をさらに抱きしめてくる朱乃さん。今の声はいつもの凛とした朱乃さんの声じゃなく、普通の女の子の声だった。
「ねぇ、これから2人っきりのときは朱乃って呼んでくれる」
甘えるような声。『副部長姫島朱乃』の姿ではなく、1人の女子高生になってしまっていた。たぶん、誰かに甘えたかったんだろう。
「はい。いいですよ」
「あなたたち、何やっているのかしら?」
朱乃さんと抱き合っていると部長の声と共に襟を掴まれて朱乃から引き離された。
「リっリ リアス様っ!?」
リアス様は額に手を当て、大きく息を吐く。
「まったく油断も隙もないわ……。ヤマトを誘惑するなんて……、!」
ぎゅぅぅ! 痛い! 俺の耳がリアス様に思いっきり抓られる! いたたたたた!
リアス様は低く迫力のある声で俺に訊く。
「ミカエルとの会談は?」
「無事に終わりました!」
「ミカエルは? イッセーに例の剣を渡したの?」
「は、はい! ミカエルも、もう帰りました!」
「なら、ここにもう用はないわ! 帰るわよ!」
この場から踵を返したリアス様に急いで続く。朱乃さんに頭を下げる
「『特別』のリアス部長がうらやましい限りですわ」
うしろからつぶやく朱乃さん。いつもの朱乃さんの声に戻っていた。
朱乃さんの声にリアス様は一度立ち止まり、俺の腕を引
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