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101番目の百物語 畏集いし百鬼夜行
第九話
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「えっと、昨日転校してきた翠緑学園からの転入生で、夢宮天樹。名前がちょっと男っぽいからテンって呼んで欲しいって」
「うんうん、それで?」
「えっと、あとは……席が俺の後ろの席になったことと俺の持ってるのと色違いのヘッドフォンを持ってるとかでだいぶ仲良く(?)なって、連絡先も交換したし、今度学校の案内をすることになった」

 声には出さずに思考の中で疑問符をつけたのは、まあ昨日のことがあったからだ。俺個人としては仲良くなりたいと思うんだけど、それでも昨日のことをはっきりさせずに、というわけにはいかない。

「…………」
「えっと、姉さん?」
「いいじゃない!」

 あーあ、こりゃダメだ。もう毎度のことだけど。
 確か、最近ではティアの時が最後だったかな?いや、亜沙先輩について話した時もこうなったんだっけ?

「あの子、最初は髪を染めてるような子かと思ったけど、髪の色と眉毛の色が一緒だからそうじゃないみたいだし、だとすればいい子じゃない!ちょっと強気みたいだけど、それでも話があるからって呼びだすんじゃなくて自分から来て!あんないい子中々いないわよ〜。ちょっとツンデレみたいな見た目だし、実際にそうなのかはわからないけど、なぎくんそういうところで判断する子じゃないでしょ?」

 あ、うん。俺が連絡先を交換したって言ったからなのか、どうやってここを突き止めたのかは気にしていないらしい。そして言うなら、「あんないい子中々いない」という発言はもう何度目だろうか。ティアに亜沙先輩に、あと幼馴染についても何かあるたびに言われている。確かに全部事実だけど。
 とかそんなことを考えている間に、いつの間に行ったのか俺の部屋に置いてあったはずのかばんを持たされ、アイロンがけされたハンカチとポケットティッシュを手渡され、お気に入りのヘッドフォンを首にかけてくれてと、出かける準備は整っていた。手際の良さにはもう驚かないけど、早すぎない?

「はい、じゃあ行ってらっしゃい、なぎくん!女の子を待たせちゃだめよ〜」
「いや、俺まだ皿洗いが……」
「そんなのお姉ちゃんがやっとくから!だいじょーぶ!今日大学二限からなの!」

 ピースの形にしたてを突き出して見せてから、姉さんは玄関まで俺の背を押していく。もういい加減にあきらめた俺は抵抗なんてしないでそのまま玄関まで進み、玄関から押し出される。

「ちょ、カミナ」
「待たせちゃってごめんね!なぎくん、まだ準備が終わってなかったから〜。じゃあなぎくん!行ってらっしゃい!」
「うん、行ってきます姉さん。帰りに何か買ってきたほうが良かったりしたら、メールしてよ」

 じゃあ荷物持ち頼むかも〜、という姉さんの声を背に、俺は家を出る。

「おーい、テン。大丈夫か?」
「……中々濃いお姉さん
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