1部分:第一章
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彼は恐れを知らない顔だった。彼が今いる場所は緑の幾分か段差のある丘陵ですぐそこが白い崖になっている。まさに海峡のすぐ側である。
「だって今はそんな時じゃないですから」
「イギリスがかい」
「はい、そうです」
まさにその通りだというのである。
「ですから僕はここから離れません」
「ドイツ軍が去るまでは」
「そうです。去りません」
何があってもという口調だった。
「あいつ等に。何があってもイギリスは」
「そうか。そこまで言うんなら」
年老いた下士官も遂に折れたのであった。
「坊主の好きなようにしろ」
「それでいいんですね」
「いいさ。上には言っておくよ」
優しい声で彼に告げる。
「もうな」
「すいません」
「いいさ。今は本当に辛い時だしな」
イギリス自体がということである。とにかく今は本当に猫の手も借りたい状況なのだ。何か少しイギリスにとって都合の悪い現実が起こればそれだけで敗れてしまうような。そんな状況なのであるからだ。
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