第18話〜矜持と気品〜
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った。周りの貴族生徒にも言い過ぎだと注意されているにも関わらず、逆ギレしている。
「・・・さっきから黙って聞いていれば、随分な物言いだな」
「何だと?」
リィン達とパトリックの間に立ち入り、あくまで冷静な声音で彼へ話しかけるケイン。
「確かに貴族は偉いだろうし、矜持のために相応の努力はしているはずだ。それは自分のクラスメイトを見ていればよく分かるよ」
「フン、何を言い出すかと思えば当然のことを。貴族とは伝統であり家柄だ!平民ごときには決して真似できない気品と誇り高さに裏打ちされている!」
「ああ、そうだろうさ・・・けど、ラウラは言っていた。『身分に関係なくどんな人間でも誇り高くあれる』って」
「・・・何が言いたいんだ?」
どっちつかずなケインの言葉に、多少の苛立ちを見せるパトリック。
「人間、誰でも誇り高くあれるってことだよ。パトリックの言葉を借りれば、とりあえず君には“気品”がない、かな」
「なっ!?」
「プライドは高いみたいだけど、それは他者を見下したり、貶したりしてまで得るものなのか?そんな貴族は俺の知っている人の中では今、周りを見渡すと君だけだな」
「ぐ、ぐうっ・・・」
小ばかにした様子もなく、淡々と自分の意見を述べるケイン。パトリックはばつが悪そうな顔をして黙りこんでしまう。
「ついでに言うと、平民にも上品な人はいるし、貴族にも下品な人はいる。さっきの発言を考えると、パトリックの気品が知れていると思うよ・・・まぁ、あくまで持論だけどさ」
最後の最後に譲歩の台詞を言ったのはせめてもの慈悲なのだろうが、「言い負かされたような相手にそれを告げても意味はないな」とはケイン以外の誰もが思ったことだろう。
結局、教室に戻って自習するようサラが貴族生徒らへ促して場を収拾させた。ケインの発言によって他のメンバーが、貴族と平民、矜持と気品について今一度考える中、サラは今週予定されている特別実習の話を進めていくのだった。
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