第18話〜矜持と気品〜
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しょうか」
教頭への逆恨みを頭の隅に追いやり、指をパチンと鳴らして実技恒例の戦闘傀儡を呼び出すサラ。
「・・・ケイン、気付いた?」
「ああ、アガ・・・オーロックス峡谷にいた白銀の物体か。どことなくアレに似てるよな」
「素材の雰囲気が近いんだと思う。ひょっとしたら・・・」
先月の実習、バリアハートへ行ったA班は気付いているだろうが、実技テストで運用されている眼前の傀儡は、峡谷で見た白銀の物体に似ていた。色も形状も異なっているが、フィーは素材に着目している。ケインがフィーと小声で話していると、不思議に思ったのか、ラウラが様子を窺うように話しかけてきた。
「・・・?どうしたのだ?」
「別に・・・こっちのこと」
問いかけに対して素っ気無く返すフィー。悪気はないのだろうが、ラウラは黙り込んでしまう。マキアスやユーシスの時とは違うが、互いを敬遠しているようにケインには映った。
「フン・・・面白そうなことをしてるじゃないか」
どうしたものかとケインが頭を悩ませていると、少しはなれたところからZ組ではない男子の声がした。見上げてみれば、グラウンドの外に白い制服を着た生徒が数人いる。その中の、前できっちりと半々に分けたブロンド髪の少年。帝国南部サザーランド州を治めるハイアームズ侯爵家の三男で、名がパトリック・T・ハイアームズ。彼がいるということはT組の生徒で間違いないだろうが、一体何用なのかとZ組の面々が訝る。
「あら、どうしたの君たち。T組の武術訓練は明日のはずだったけど」
訝る面々を代表して、サラがグラウンドへ入ってきたパトリックに声をかける。彼の話では、帝国史を担当しているトマス教官の授業が自習になったため、クラス間の“交流”をしに来たらしい。得物である細剣を構えていることから練習試合の申し出だと察しがついた。
「そのカラクリも結構だが、たまには人間相手もいいだろう?僕たち<<T組>>の代表が君たちの相手を務めてあげよう・・・フフ、真の帝国貴族の気風を示してあげるためにもな」
かかってこいと言わんばかりに挑発的な態度を取るパトリック。言葉の端々に感じられる傲慢さには当然、不快感しか沸いてこない。マキアスなどはこめかみがピクピク動いている。そもそも、帝国の気風を残した当学院は貴族・平民でクラスが分かれており、Z組の存在は特別と言えるため、旧き伝統を重んじる貴族生徒の大半から「寄せ集め」などと揶揄されているのが現状だ。
(おおかた、その寄せ集めに試験で負けたのが悔しくて試合で憂さ晴らしか)
「フフン、なかなか面白そうじゃない・・・実技テストの内容を変更!T組とZ組の模擬戦とする!」
パトリックの意見を尊重したのか、それともただ面白がっているのか、カラクリを片付け、練習試合を
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