暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン-ゲーム嫌いの少女冒険譚-
アインクラッド編
託される思い 戦う意思
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「ちょっとゼノ、ここ何処よ? 何か少し薄暗いし……」


「まぁ目的の店まではもう少しだから我慢してくれ……おっ、ここやここ。」


薄暗い路地を抜けていくとある店の前に辿り着いた。何やら武具店らしい。別に必要な武器はあるし、特に買うものもないのだが……


「よう、おっちゃん。例の物は出来とるか?」


「おう、出来とるで。しっかし堅物のお前さんが女の子にプレゼントなんて珍しいことやなぁ。」


「えっ、プレゼント?」


私は酷く動揺していた。まさかあのゼノが私にプレゼントを贈ってくれるとは思ってもいなかった。付き合いの長い私だから言えるが、まず人にプレゼントなんてやるような男ではないと思っている。そんな彼が私にプレゼントだなんて……


「随分前に言っていただろう? 一人前になった時にはその時には餞別の品を渡してくれって。」


「それってもう二年も前の話じゃん……それずっと覚えていたんだ。」


それは私が【初めて】SAO(ゲーム)に触れた時に何処かのお酒の席か何かで話したような気がする。私は言われてやっと思い出したが、覚えていたようだった。そうして、ゼノは武器屋の店長から武器を受け取ると、私に手渡した。


「これって……カタナ?」


「ああ、そうやで。お前カタナ使うのにずっとボスドロップ品ばっかりやったろに。しかも今使っているそれだって、もうボロボロやろ。」


基本私は短刀を使うが、大事な場面ではカタナを使うことが多い。自分の武器の手入れは欠かさなかったが、何かを感じたのだろうか。この先に起こる何かの為に用意したとも思える。


「見てみ? そのカタナ。」


「何だろう……綺麗なカタナだけど、その中に力強さを感じる。」


「まぁ、お前に所縁のある奴らに協力してやって貰ったからなぁ。素材集めから大変やったんだぜ?」


「ありがとう……みんな。このカタナ、これから先大切に使わせてもらうわ。」


人からの思いを託された品を受け取り、私たちは集合場所へと戻った。戻ってからすぐに、珍しい回廊結晶を使用して、ボス前へと直接移動した。75層のボス戦が、これから始まる。

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