ワールド・カタストロフ〜クロスクエスト〜
Round《3》〜オーバー・アンド・ソリッド〜
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第五回戦は、奇妙な対戦カードである。
プレイヤーネーム《ハリン》と、プレイヤーネーム《リュウ》は、所持するユニークスキルの名前が同一なのだ。
その名は《双刀》。しかしその内容は、全く異なるものだった。
方や両手武器であるはずの《刀》を二刀流で装備できる、パワーと手数を兼ね備えた堅実なスキル。
方や《両剣》と呼ばれる、柄の両側から刃の伸びる剣を扱う、威力運任せギャンブルチックスキル。
相反する、とでも言うべきその効果は、二つの刃が存在すること――――陰と陽が存在することの象徴の様にも思えた。
そしてその使い手の実力は拮抗している。
方やLv200超え、《神殺し》の異名で恐れられた攻略組。
方や無限の技巧、オレンジバスターの名を背負ったPKK。
言うまでも無く、前者がハリン、後者がリュウである。ハリンがレベルの高さとスキル自体の堅実さで戦うオーソドックスな剣士プレイヤーであるならば、対するリュウはトリッキーな戦法と持ち前のリアルラックで戦況を動かすトリックスターである。
ハリンの得物は刀。バランスの良い重さ、高めの攻撃力、高い耐久値、そしてクリティカル・出血補正や高速のソードスキルを要する、《曲刀》系上位武器。
リュウの得物は片手剣。全てのプレイヤーが等しく使用可能な基本スキルでありながら、鍛え上げれば《万能》と化すスキルである。
ハリンの《双刀》は前述の通り刀を二刀流で使う。対してリュウの《双刀》は、二本の片手剣を合体させて使うのだ。
閃光が世界を彩る。
コロシアムのあちこちで、ハリンとリュウの剣戟が瞬いていく。
「はっ!」
「チィッ!」
ハリンの刀が光をともせば、リュウの両剣も眩く輝く。
《双刀》ソードスキル、《朱天》、六連撃。
《双刀》ソードスキル、《フェルカー・モルト》、八〜十六連撃。今回は九連撃。
その両者がぶつかり合い、火花を散らす。
《朱天》の素早くも重い十六連撃は、《フェルカー・モルト》の九連撃に阻まれた。だが同時にリュウの体勢が崩れ、両者ともに隙が空く。
一瞬の後に再開される剣戟。
「……やるね」
ハリンが小さく呟けば、
「そっちこそな」
リュウもまた言い返す。
ここまで、ハリンは一度もリュウに強攻撃を決めることができないでいる。お互いにそのHPは今だグリーンのまま。インパクトダメージだけで地道に削られていっているのだ。膨大なレベル差があるにも関わらず、ここまで拮抗しているというのは、さすがにリュウが《幸運少年》と呼ばれる所以も関与しているとしか言いようがない。
対するリュウもまた、《双刀》スキルの真価を発揮できないでい
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