ワールド・カタストロフ〜クロスクエスト〜
Round《3》〜オーバー・アンド・ソリッド〜
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た事。話が全くかみ合わなかった。わけのわからない持論をもちだされて論破された。その自体が、仮にも《天才》茅場晶彦の弟としてこの世に生を受けたタツを、強く揺さぶっていた。
これが、第三の理由を呼び起こす。
本来ならば、タツは強い感情をもたない。知人程度の存在ならば、ゴミクズのように廃棄できるタツの精神が、あんな奇妙な男の言動一つで大きく惑わされている。
その現状が、我慢ならなかった。
――――せめて。
せめて、少しでもあの男に目に物見せてやろうと。
あの男が望んでいる、『時間稼ぎ』をしないでやろうと。
そう心に決めていた。
自分の試合――――第六試合の相手は、《双盾》のアクト。あらゆる攻撃を無効化して、ダメージを反射するユニークスキル、《双盾》の持ち主。
――――だから何だ。
タツは神だ。絶対的な力を持った強者だ。
故に――――
『それでは、第六回戦、プレイヤーネーム《アクト》VS《タツ》を開始します。お二人はコロシアムに強制転移させますので、四十秒で支度をしてください』
そのアナウンスが鳴り響き、ゲートへと続く転移光が瞬いたその時には。
タツの心には、ただひとつ、《蹂躙》という決意が揺らめくだけだった。
フィールドには、既に盾を構えた長身の少年が待ち構えていた。アクトだ。彼もまた、感情とは無縁の存在である。そのことを、タツは『知って』いた。
「……どうも」
「……お手柔らかに頼むよ」
一応挨拶をしておくと、帰ってきたのは気だるげな頼み。
「誰が」
――――手を抜くか?
【デュエル!!】
その文字が瞬いた瞬間。
アクトが、両の盾を構えたその瞬間。
「『この勝負、俺の勝ち』」
タツは、静かに、そう告げた。
スキル、《真実の言霊》が、仮想世界に『事実』を書きこんでいく。神の力を以てして生みだされた、絶対なる現実が、世界を塗りつぶしていく。
【sixth-Battle:Winner is Tatsu!!】
あっけなく出現するウィナー表示。
デュエル開始から終了まで。
所要時間は、タツが言葉を紡いだたったの数秒だけ。
たったそれだけで、この勝負の勝者は決定した。
「……お手柔らかに、と言われたので、何もせずに勝利してあげましたが?」
「……少しは勝負してくれると、大会の意味があると思うんだがな」
ポリゴン片となって、霧散していくアクト。タツはただ、それを無感情に眺めていた。
そして。
どことも知れない彼方を見据えて、憎悪の儘に、心の奥で叫ぶ。
――――どうです。
――――『時間稼ぎ』なんて
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