暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜神話と勇者と聖剣と〜
ワールド・カタストロフ〜クロスクエスト〜
Round《3》〜オーバー・アンド・ソリッド〜
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
た事。話が全くかみ合わなかった。わけのわからない持論をもちだされて論破された。その自体が、仮にも《天才》茅場晶彦の弟としてこの世に生を受けたタツを、強く揺さぶっていた。

 これが、第三の理由を呼び起こす。

 本来ならば、タツは強い感情をもたない。知人程度の存在ならば、ゴミクズのように廃棄できるタツの精神が、あんな奇妙な男の言動一つで大きく惑わされている。

 その現状が、我慢ならなかった。

 ――――せめて。

 せめて、少しでもあの男に目に物見せてやろうと。

 あの男が望んでいる、『時間稼ぎ』をしないでやろうと。

 そう心に決めていた。

 自分の試合――――第六試合の相手は、《双盾》のアクト。あらゆる攻撃を無効化して、ダメージを反射するユニークスキル、《双盾》の持ち主。

 ――――だから何だ。

 タツは神だ。絶対的な力を持った強者だ。

 故に――――

『それでは、第六回戦、プレイヤーネーム《アクト》VS《タツ》を開始します。お二人はコロシアムに強制転移させますので、四十秒で支度をしてください』

 そのアナウンスが鳴り響き、ゲートへと続く転移光が瞬いたその時には。

 タツの心には、ただひとつ、《蹂躙》という決意が揺らめくだけだった。


 フィールドには、既に盾を構えた長身の少年が待ち構えていた。アクトだ。彼もまた、感情とは無縁の存在である。そのことを、タツは『知って』いた。

「……どうも」
「……お手柔らかに頼むよ」

 一応挨拶をしておくと、帰ってきたのは気だるげな頼み。

「誰が」

 ――――手を抜くか?

 【デュエル!!】

 その文字が瞬いた瞬間。

 アクトが、両の盾を構えたその瞬間。

「『この勝負、俺の勝ち』」

 タツは、静かに、そう告げた。

 スキル、《真実の言霊》が、仮想世界に『事実』を書きこんでいく。神の力を以てして生みだされた、絶対なる現実が、世界を塗りつぶしていく。

【sixth-Battle:Winner is Tatsu!!】

 あっけなく出現するウィナー表示。

 デュエル開始から終了まで。

 所要時間は、タツが言葉を紡いだたったの数秒だけ。

 たったそれだけで、この勝負の勝者は決定した。

「……お手柔らかに、と言われたので、何もせずに勝利してあげましたが?」
「……少しは勝負してくれると、大会の意味があると思うんだがな」

 ポリゴン片となって、霧散していくアクト。タツはただ、それを無感情に眺めていた。

 そして。

 どことも知れない彼方を見据えて、憎悪の儘に、心の奥で叫ぶ。

 ――――どうです。

 ――――『時間稼ぎ』なんて
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ