Month1『狂竜戦線』
Day1後編 龍狩り師の危機一髪。
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「何だ、ありゃ…」
「おい!ゼン!ボサッとしてないで攻撃しろ!」
「す、すまん。」
嫌な予感がする。何か、いつもと違うような何かが。
「ユキ!後ろだ!」
「え…キャァァァ!」
ユキは3メートルほど吹き飛ばされた。
「ユキ!」
「な、何よこれ…力が抜け…」
ユキの体にはイビルジョーが纏っていた得体の知れない紫色の粉がこびりついていた。
それらは、まるで意識を持っているかのごとく怪しく蠢いた。
「おいおいしっかりしろよ!嘘だろ?猫タク!ユキを頼んだ!」
「ニャナニャニャニャ!ニャ、ナニャニャニャ。」『了解しましたニャ!あと、アイルータクシーですニャ。』
「どうするのゼン?」
「削れるとこまで削り取るぞ!」
実際、その判断はヤケクソだった。勝てる見込みもないがやるしかなかった。
それしか、俺の頭には無かった。
「うん、わかった。ユキ姉のぶんもしっかり返さないとね!」
そうは言ったものの、あの紫色の正体が掴めなければ、攻略は厳しい。かといって突っ込むと俺が餌食になりかねない。
一旦引くべきか。いや、仲間がやられて黙っているわけにも…
「アンズ!目を撃て!」
「う、うん!」
二発の電撃弾はイビルジョーの両目をとらえた。イビルジョーはまるでゾンビのような呻き声を上げて俺たちを探し回る。
引くタイミングは今しかない。今引かなければ全滅する。そう思った時だった。
撃ったはずのイビルジョーの目が元に戻っていた。
「なん…だよ?」
もうそれはイビルジョーでは無かった。紫色のなにかに包まれた塊だった。
イビルジョーだったものはその視界に俺を捉えた。
「ちっ俺狙いか。アンズは先に引け!」
「え、でも…」
「いいから早く行け!お前は先に行ってろ!」
「わかった。でも!ちゃんと帰ってきてよね!」
「ああ。わかってる。絶対に帰ってくる。」
帰れる見込みは無かった。ただ死ぬ気でこれを殺そうとしか思っていなかった。
「さぁ、戦おうか。肉塊!」
そう呟き、狂走薬Gを飲む。これはギルドに制限されている危険な薬で、強走薬Gに狂走エキスを混ぜただけのものだが、
効果は絶大で、副作用は身を滅ぼすほどと言われている。
体が軽い。これも薬の効果なのか。
俺はハンマーを地面に叩きつけ、その反動で飛び上がる。
4、5メートルほど飛び上がった後に、全体重をハンマーにかける。
ハンマーはイビルジョーの頭を寸分狂わずとらえた。
その時だった。
イビルジョーはとっさに体を回転させ、俺の体を尻尾で吹き飛ばした。
俺の体は気付けば紫色のなにかに包まれた。
「動けよ!おい!動かないな
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