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虎退治
3部分:第三章

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第三章

「必死なんだよ」
「じゃあジグザグに進んでな」
「それで逃げるか」
 そんなことを言い合いながらだった。バージルはジグザグに進みはじめた。そこにだった。後ろからその砲撃が来たのであった。
「おい、来たぞ!」
「うわっ!」
 その砲撃はすぐ左に来た。至近弾だった。
 だが直撃は避けることができた。幸運にだ。
「キャタピラは無事か!?」
「何とかな」
 チャーリーは上から覗き込みながらエドワードの問いに応えた。
「安心しろ、何ともない」
「そうか」
「それよりもだ」
 チャーリーは後ろを見ながらまた言う。
「また撃ってくるぞ」
「わかってる」
「それじゃあな」
「バージル、全速だ」
 チャーリーは運転するバージルに対して告げた。
「ジグザグに進みながらだ。いいな」
「ああ、わかった」
 バージルはチャーリーのその言葉に頷いた。
「行くぞ、ここはな」
「ああ、頼んだぜ」
「向こうのスピードはどんな感じだ?」
 ジョーンズはこのことをチャーリーに尋ねた。
「それで。どうなんだ?」
「足は遅いな」 
 後ろを見続けながらの言葉である。
「振り切れるな」
「そうか。ならいい」
 それを聞いて安心したジョーンズだった。
「それじゃあだ。振り切ってか」
「何とか下がるぞ」
 また砲撃が来たが今度は完全に外れていた。右の森に入ってそこで爆発する。
「いいな、それじゃあ」
「ああ」
 全速力で振り切りにかかった。それは上手くいって彼等は何とかそのキングタイガーを振り切ることができた。速度ではこちらの方が上だった。
 何とか振り切って姿が見えなくなったところでだ。四人は森の中に隠れた。今は戦車の中で話をするのだった。
「足はこっちの方が上か」
「そうだな」
「とりあえず一つは勝っているところがあるんだな」
 そのことがわかって少しは気が休まった。しかしであった。
「だがな。あいつ諦めないだろうな」
「だろうな。また来るな」
「しかしあの虎野郎」
 そのキングタイガーのことである。
「一両だけだな」
「偵察か?ひょっとして」
 何故一両なのかも考えるのだった。
「それで一両か?」
「だったらな」
 そうしてだった。彼等の中にある考えが浮かんできた。その考えは。
「ひょっとしたら」
「いけるか?」
「あいつ倒せるか?」
 こう考えだしたのだった。
「あの虎な」
「倒せるか?」
「おい、マジかよ」
 この中でジョーンズが言ってきたのだった。
「あいつに砲撃してどうなった?全然効果なかっただろ」
「そうだったな」
「それはな」
 他の三人もその言葉に顔を俯けさせた。狭い戦車の中で見合わせる顔が暗くなっていく。

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