ラジエル
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だが、ここに住むという事はいつかひまわり娘の地雷を踏む可能性が高い。また怯えなければいいが……。
「ザジの預かり先が決まったのは良いとして、エレンはこれからどうするのだ?」
「私は……私もしばらくここにいるわ。やっぱりザジが心配だもの……魔女同士、貴重な友達だしね。心配がなくなるまで付き添うわ」
「……そうか」
「その後は、前に言った様にまた旅に出るつもり。私とザジの中に入った謎の金属板……これが一体何なのか、それを調べておきたいのよ」
確かに得体のしれない代物が体内にあったら、誰だろうと不安に思うだろう。尤も、俺の身体にも俺自身を蝕むダークマターが宿っているからある意味お相子だが。
「(ぐぅ〜……)あ、ちょ……み、見ないで……恥ずかしい……」
「あははは! 盛大に鳴ったなぁ! よっしゃ! 今日は色々あってお腹空いたやろ、すぐ夕ご飯にしようや!」
ザジのお腹が鳴って爆笑したひまわり娘の計らいを締めに、この会談は終結した。
「……………頃合い、か」
外は一筋先すらも見えない闇に包まれた深夜……今夜は泊めてもらう俺達にひまわり娘が用意した部屋で、俺は静かに立ち上がる。隣で寝ているザジとエレンを起こさない様に、忍び足で入り口まで進み、扉を開ける。
「……すまない。触媒を全て集めた以上、おまえ達の側にはもういられないのだ……」
銀河意思ダークに俺がこいつらに情が湧いたと判断されれば、『クイーン・オブ・イモータル』ヘルが自ら手を出して来る可能性が高い。そうなればいかな“ひまわり娘”といえど、二人を守り切る事は不可能だ。二人が生きる未来のためには、俺が早く二人と別れて闇の住人へ戻らねばならない。
「もう会うことも無いだろうが……おまえ達との旅、楽しかったぞ」
寝てるから聞こえていないだろうが……それぐらいの礼だけは言っておきたかった。もし……俺が暗黒に囚われていなかったら、普通の人間として出会えていたら、こいつらと共に歩む未来もあり得たかもしれないな……。
「……ずるいわね、サバタ」
「む……起きてたのか、エレン」
「雰囲気がいつもと違ってたから、こうなる予感はしてたの。でも……こんなにすぐに行かなきゃいけないの?」
「おまえはもう気付いているんだろう? 俺がイモータル側の人間……太陽を陰らせる暗黒の戦士だと。俺がここにいたら、イモータルの襲撃を招きかねない。そうなればおまえ達は死ぬ、絶対に……」
「だからって、何も言わないでいなくなるなんて……ちょっとずるいよ。記憶を失ってもザジは、あなたを恩人として特別視……いや、心を寄せている。あなたが本当はイモータルの味方だろうと、女の子に一度根付いた恋心はそう簡単に消えない。……戻ってきてほしい
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