ラジエル
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帰らなければ、ここにはクイーンや彼女の手の者がやってくる。ザジ……二人の同族の安全を内心で第一に考えているおまえが、それを許容するとは思えないからな」
「…………」
「フッ……魔女同士、やはり仲間を大切に思う気持ちは強いか。だからこそ、俺はおまえにあいつを任せられる。………もう傍にいられない俺の代わりに、彼女の心に太陽を取り戻してくれないか。ザジは意地っ張りだが、実は寂しがり屋で結構な泣き虫だ。誰かが傍にいないと心配なんだよ、最初に旅に誘った身としては」
「…………やっぱり、あいつの息子やな。……しゃあない、あいつのよしみで引き受けたる。だけどこれだけ誓ってもらうで! “何があっても、どれだけ時が経とうとも、絶対にあの二人の味方でいること”……裏切ったら承知せえへんからな!」
「有無を言わせないつもりだな、その様子だと。……だが、了承した」
そうして俺の意思を確かめたひまわり娘は、無言で道を開ける。魔女が安息を得られる場所……その地を後にして、俺はあるべき場所へと帰って行った。
世紀末世界の混沌を体現した大地、イストラカン。その中心部である暗黒城へ……。
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〜〜Side of サバタ(現代)〜〜
こうして昔の話が終わった時、視聴していた彼女達はそれぞれの反応をしていた。なのは、すずか、アリサ、はやてといった年少組はザジの記憶喪失について女子らしい意見を交わしていたり、ネロやヴォルケンリッターといった次元世界関係者は例の金属板の正体が何なのか考察していた。
「この後もかなり色々な事があったが、ザジとはサン・ミゲルでヴァンパイアに噛まれて暗黒物質に侵されたジャンゴにパイルドライバーを使う際に再会を果たした。彼女は先代の口調が移っていたものの“ひまわり娘”の肩書きを継承するほど成長を果たしていた。が、本質はあまり変わっていなかったように見えたな」
「でも旅の記憶が無いから、久しぶりの再会が感動的なものにはならなかった……」
「その通りだ、ネロ。そして思い出そうとしないという事は、それだけ今が充実していると考えた。なら無理に思い出させる必要も無い、そう思った俺は彼女の記憶を復活させようとはせず、最初からもう一度接した。……が」
「が?」
「やはり俺自身、記憶が影響して彼女だけ特別気がかりにしてしまった。そのせいか“ひまわり”は俺に恩を感じてしまったようだが…………そうか、そういうことか」
「兄様?」
別れ際にカーミラが言っていた。
『あなたのおかげで救われた心があった事を、時々で良いので思い出してください。それだけが私の、最後のワガママです』
この言葉の意味をようやく理解した。ザジとエレンの事を言っていたのだろう、恐らく。本当に
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