ラジエル
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。イモータルとは手を切って、ザジを守ってあげて欲しいよ……」
「ダメだ」
「どうして?」
「………アイツが……俺の帰りを待ってくれているからな。だから帰らないといけない、どうしても」
「……そう。サバタにとってはそこが帰る場所なのね。そこにいればヒトの敵となる事もわかってて、それでもその人に想いを寄せているから……」
「…………」
「……ある意味、記憶を失ったのはザジにとって良かったのかもしれない。サバタに想い人がいると知らないまま、想いを封印して別れられるんだから」
「…………」
「心配しなくてもいい、彼女は私に任せて。……大丈夫、サバタは帰るべき場所に帰ったとだけ、ザジに伝えるから。それと…………私達を救ってくれてありがとう」
「…………そうか。さらばだ、エレン。“真空波の魔女”よ……」
そして……さらばだ、ザジ。“星読みの魔女”よ……。
この言葉は心だけで念じ、俺は部屋を出て二人の魔女……束の間に出来た仲間と別れた。
「……ばか」
去り際に聞こえたエレンの呟きが、この問答の中で最もズシリと心に重く圧し掛かった。
ひまわり娘に見つかると面倒なので、物音を立てずに素早く屋敷を出る。彼女は伝説の魔女、今の俺が戦った所で強行突破は出来るかもしれないが、勝ち目はないだろう。慎重に慎重を費やしたおかげで、屋内では見つかる事は無かった。
が、実は屋敷内に彼女はいなかった。年長者であるひまわり娘を出し抜くことが、そもそも難しいのだ。彼女は……屋敷の外で待ち構えていた。
「俺が来ると気づいていたのか?」
「これでもうちはアンタの親父、リンゴと旅をしたことがあるんや。この程度のこと、見破れん訳あらへんやろ。暗黒少年サバタ」
「俺の正体をそこまで見抜いていたとは、流石は伝説の魔女、ひまわり娘だ」
「なぁ……サバタ、あんたはこれからどうする気なんや?」
「……集めた触媒を利用して、暗黒城にエナジーを送り込む。充填された力は城を浮上させ、大気圏を越えて月へと飛翔するだろう」
「そしてクイーンの命令のままに、全世界に吸血変異を発生させるってか? そんな事、うちがこのまま見逃すとでも思っとるんか?」
「もちろん思わないさ。……俺の目的は別にある、クイーンにいつまでもかしずく気は無い。この旅で手に入れたこの四つの触媒を集めるように命令を出したのは確かにクイーンだ。しかし俺はクイーンの命令だから集めたのではない、俺自身の目的のために集めた。そこを間違えないでもらおう」
「要するにあんたはクイーンを利用してるだけ、そう言いたいんか? そしてうちに、それを信じろと言うんか?」
「信じようと信じまいと、俺には関係ない。そもそもおまえは信じるしかない。俺が
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