ラジエル
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れほどの性能があるのなら、太陽都市に行くぐらい容易そうね」
「あ……うん、そうだね……」
「どうした、ザジ? 顔が暗いぞ」
「いや……気にしないで」
「……まあいい。じゃあ、そこへ案内してくれ」
口やかましいゴーストが船長のスケルトンにサバタの言葉を伝えて、船は最後の目的地に行ける手段がある海賊島へと航行を開始した。
このままじゃあ……旅が終わっちゃう。そうなったらサバタは目的を果たしてどこかに帰るけど、故郷を追い出されたうちには行くところが無い……。
「いっそ家まで付いていっちゃう……なんて、きっと迷惑になるし、そんな簡単に決められないよね……」
あと、サバタの旅が終わってもエレンはしばらく故郷に戻らないで旅を続けるらしく、彼女には彼女の考えがあるみたい。才能頼りとはいえ、エレンには相応の実力があるから一人でも大丈夫だと思うけど……うちはまだ一人で旅ができる程強くない。だから……路頭に迷う未来しか見えない。うち……このまま皆と別れて一人になったら、生きていけるのかなぁ……。
そして最後の航海を終えて到着した海賊島から陸地に戻ったうちらは、黒ひげ三兄弟から最後の手土産として転移術式が込められた魔砲の位置と使い方を教えてもらった。彼らにとって最も大事なお宝の一つらしい。余程クラーケンに辛酸をなめさせられていたんだろうね、これを教えてくれたということは。
「これが……“魔砲”。凄く大きいわ……」
「どんな製法で作られたのだろうな。俺達の旅に関係ないから調べる気はないが、少なくとも興味は湧く」
「いっそ誰も知らない所へ行ってしまいたい……」
うちの呟きにエレンが疑問を抱く。ぽんっと手を叩いて彼女はうっとりした表情を浮かべた。……何か誤解して変な妄想でもしてるのかな?
「よし、転移魔砲を使って太陽都市へ向かう。行くぞ!」
そして……うちらが撃ち出された光の玉が天空にアーチを描いて飛んでいった。
太陽都市……石造りの建築様式でも長い間誰の手も入らなかった影響で、所々に太陽都市特産の太陽の根が無造作に張り巡らされていた。空中に浮かぶこの都市内部の移動に用いられていた移動床も、整備されていない事で既に機能しなくなっている。
「外もかなりの強風だ、うかつに足を踏み外せば地上まで真っ逆さまだな」
「落ちれば潰れたトマトの完成ね、それとも真っ赤な花が咲くと言った方が良いかしら?」
「ちょ……サバタもエレンも怖いこと言わないでよ……。あぁ〜うっかり想像しちゃった……うぅ……」
「私達は体重が軽い分、風にあおられやすい。出来るだけ屋内を通って行くべきよ」
エレンの妥当な意見にうちとサバタも納得した。それで抜け穴とも言える排水溝……通風孔を
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