ラジエル
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〜〜Side of ザジ(幼少期)〜〜
「見えたっ! 天高く浮かぶ虚構の都市、既に訪れる者もいない廃墟の中央広場で、新たな未来に関わる運命が交差せし時、代償を以ってそれは手に入る……」
「運命が交差? 代償を以って? どうも今回は抽象的な言い方が入っているな」
「うん……なんだか今回の星読みはちょっと変なんだ。何かが……誰かがいるみたいなんだ。うちらの運命に深く関わる誰かが……」
「ザジの星読みにこうまではっきりと出るという事は、相当強い結びつきがある人物……親とかかしら?」
「いや……それはあり得ないよ。おとーさんも、おかーさんも……うちの事なんて連れ戻そうとは思わない。魔女の娘に帰ってきてほしいなんて思ってくれないよ……きっと」
「……そう、ザジも……大変だったのね。ごめん、迂闊だったわ」
しばらく一緒に島生活を過ごした事でエレンもうちにある程度心を許しているけど、魔女の境遇はトラウマになる出来事が多く、気を遣ってあまり事情は詮索してこなかったのだ。故に今回のようなニアミスが起きる可能性は潜在的に残っている。ま、それはお互い様だけど。
「それより天高く浮かぶ都市……空中都市って、そんなもの本当にあるの?」
「あ〜うちはそういう情報知らないから……サバタは何か知ってる?」
「ああ、恐らく太陽都市……かつて太陽仔が築いた古代都市の事だろう。既に住む者のいない滅びの都……天空を放浪するその都市に行くには“迷いの森”にある“ひめぐり”の生体情報を得る必要がある。しかし……俺達は“ひめぐり”の生体情報を得る力を持っていない。つまり行く事が出来ないのだ」
「あらら……行けないんじゃ、ある意味旅が終えられないわね」
“旅が終えられない”……エレンが放った言葉を、内心でうちは嬉しく思ってしまった。顔には出さなかったから気付かれていないと思うけど……自分ではもうわかっている。
“うちはこの旅を終わらせたくない”
始まりにはいつか終わりが訪れる。それが自然の摂理なのはうちも理解してる。でも終わりたくない、という気持ちがどうしても湧くんだ。太陽都市に行く方法が他に見つからなければいい、そうすれば旅を続けていられる……と些細だが拗ねた願望を抱いてしまった。サバタが必要だから探しているのに、見つからなければ良いなんて……うちも浅ましい女だ……。
「太陽都市に行きたいのか? それならオレたちが見つけた“魔砲”を使えばひとっ跳びだぜ!」
「魔砲? それは何だ?」
「使えば世界各地のあらゆる場所に一瞬でパッと行ける大層なシロモノだぜ! ちょいとデケェから持ち運びは出来ねぇが、転移できる距離はとにかく半端ねぇ! やったことはねぇが、やれば月まで行けんじゃねぇか?」
「月までか……そ
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