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リリなのinボクらの太陽サーガ
誓約
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いいわ。それに……この“誓約”こそ、私が“ヒト”である最後の砦……これを破ったその時、私は真の意味で“バケモノ”となる。これが無ければ、私は私である事を認められない。もう、認められないの……」

「そんな……」

「ショックを受けるのは構わないが……来るぞ!」

流石に長く話し過ぎたのか、クラーケン変異体がこちらに気付いてしまった。だが以前のエレンの暴走が余程激しかったのか、ヤツは彼女に対して大きな警戒を抱いているようだ。それならそれでこちらに都合が良い。未だに手を出してこないクラーケンの足を挨拶代わりに一本、暗黒独楽で切断する。
普通のイカには10本の足があり、クラーケンも同じ。しかし問題は、切り落としても本体を始末しない限り何度でも再生してしまうことだ。実際、足の切断面が躍動し、普通の生物ではあり得ない速度で再生し始めた。この分なら1時間程で元の形に戻るだろう。

「軟体生物はこういう所が面倒だ……」

「サバタ!」

“星読み”の『インパクト』がクラーケンの胴体に放たれ、表面がへこむ。単に衝撃を与えても、軟体生物にまともなダメージは通らない。だがそれでも、攻撃を逸らしたり、気を散らせたりする事は出来る。彼女に他の足を差し向けるクラーケンだが、それは“真空波”によって阻まれる。

「ミズキの仇……今こそ果たして見せる!」

彼女の力はゼロ気圧の爆発をクラーケンの足のすぐ傍で発生させ、ねじり切るように次々と切断していく。エレンに迫る攻撃はザジが抑え、効果的に反撃していくコンビ。後ろを任せるには十分だ。

出来るだけクラーケンを引き付けてから一気に迫った俺は、暗黒ショットを同じ場所に連射してヤツにじわじわと圧力をかける。耐え切れず大きくひるんだ所で、“真空波”がクラーケンの顔面にゼロ気圧ボムで追撃し、見上げる程巨大なイカの体躯がひっくり返る。それによって足に囲まれたヤツの口が……大量の血肉が葬られた大穴が俺達の目に映る。

「今だ! 全員一斉に攻撃しろ!」

暗黒スプレッド、インパクト、ゼロ気圧ボム、の雨あられ。秘部をこじ開けられ、更に猛攻撃を受けたクラーケンは耳障りな声を上げて苦痛を訴えてくる。凄まじい威圧感を発しながら足をばたつかせ、それに“星読み”と“真空波”が巻き添えを喰らって洞窟の壁に叩き付けられる。

「きゃあッ!」

「痛ッ!」

二人の悲鳴が耳に響くが、今駆け付ける訳にはいかない。元々クラーケン相手では正面からの勝利は厳しいものだった。ここで二人の所に行けば勝機は容易く失い、復活したクラーケンによってビフレスト北区のように俺達も殲滅される。しかし様々な要因が重なってクラーケンが動けない今だからこそ、まだ勝機が残っているのだ。

エネルギーを摂取したてで変異の促進による自壊までかなり
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