真空波の魔女
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驚くほどあっという間に眠りに入った。もしかして……毎回見張り番をしてくれてたから睡眠不足だったのかも。……今度からうちも寝ずの番を少しは代わりにやろう、じゃないと彼がいつか疲労で倒れちゃうかもしれない。
「……そういえば、サバタって何者なんだろう……?」
考えてみれば、うちはサバタの事を何にも知らない。いつも助けてもらって、守られてばっかりで、何にも恩を返せてる気がしない。そんな彼について、うちは何もわからない。でも……、
「悪い人じゃないのは確かなんだよね……」
いつか……サバタが話してくれるようになるまで、うちは待ち続けよう。それに、正直な所、彼が何者でも構わない。ただ、彼の隣に……うちが立てるようになりたいから……。
翌日。運転席でサバタが試しに列車を走らせてみたら、最初は金属が擦れる音があまりにも凄まじく響いて耳が痛くなった。しかし錆びた部分が剥がれて快調に動くようになると、列車は周期的な心地よい振動音を発生させながら進みだしてくれた。
ガタンゴトン……ガタンゴトン……。
「うわぁー……景色が早く流れていくね! さっきの場所があっという間に通り過ぎちゃってもう見えないよ!」
「非常電源が残っていたおかげで列車が動いてくれたのは僥倖だな。この道をもしずっと徒歩で進んでいたらと思うと、相当大変だったに違いない」
そんな会話をしながら、徐に客席の車窓を開けると涼しい風がうちの頬を撫でる。しばらく外を眺めてみたら、殺風景な景色ばかりでちょっと悲しくなってきた。アースガルズを離れてよくわかったのだが、太陽樹さまの側から離れれば離れる程、大地の自然が減っていくのだ。それだけダークマターの影響が大きいのだと心から理解した。
だけど……神秘の森のように闇に負けじと生命力あふれる場所も存在していた。そして自然の中でもとりわけ偉大なもの、“海”をうちは初めて見た事で感嘆の声を上げた。
「あれが海……湖なんかより断然大きい……すっごいなぁ〜! 圧倒されたよ!」
「巨大なのは見てわかったが、ここにいると光と潮風がとにかく目に染みて辛い」
サバタってやっぱりどこか冷めてるなぁ。もっとこう、男の子らしくはっちゃけたりできないのかな? ……想像できへんけど。
キラキラと日の光を反射して輝く海岸線を並行して列車は進行していく。目的地らしき街が見えてくると、サバタは列車の速度をゆっくりと落としていって、丁度良い駅のある場所で停車させた。
「ふう……どうやらキリ良く、非常電源の動力が無くなったようだ」
「この列車はもう使えないってこと? あ〜あ、せっかく長距離移動の良い脚になるかと思ったんだけどな〜」
「それは次の目的地次第だな」
ともあれ、今は北にある遺跡に行く
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