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リリなのinボクらの太陽サーガ
星屑編 導入
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取り返しのつかない事態になるのは避けたいから。

「また会ったら、どうやってこの事を言おうかな〜?」

な〜んて、彼とまた会うことを自分でも驚くほど楽しみにしながら、良い気持ちでうちは帰路に着く。街中じゃあ魔女と一緒にいるという事で向こうにも迷惑がかかるだろうから、今日出会ったあの場所にいればまた会えるかもしれない。そうやって自分の部屋のベッドの中で明日の予定を考えてはゴロゴロしていた。

だけど……両親が少し遅く帰ってきた頃に、それは起きた。

「あれ……? おとーさん、おかーさんも、そんな顔でどうしたの?」

いつもと比べて目の据わった怖い表情でうちを見つめる両親。いくら疲れててもここまで冷たい顔はしなかった二人に一体何があったのかわからなくて、うちは困惑した。
妙な胸騒ぎがしている中、ゆっくりと父の口が開く。

「ザジ………死んでくれないか?」

「―――――え」

一瞬、全身に冷たい水をかけられたように、身体が動かなくなる。耳が遠くなったのかと、何かの間違いだと思った。街の人にうちが魔女だと罵倒され続ける中、両親だけは味方でいてくれた。家族が心の支えになっていたから今日まで何とか耐えられたのだ、なのに……。

「母さんもね、魔女を生んだ汚らわしい女って言われて、何度も嫌な目に遭ってるのよ。もううんざりなのよ、あなたのせいで酷い事されるのは!」

「おまえのせいで俺は仕事をクビになった。おまえがいたせいで俺達の人生お終いなんだよ! どうしてくれる!!」

「もう消えてよ。お願いだからさっさと死んで!」

これは……何だ? 現実? 嘘だ……嘘だ……! だって、だっておとーさんとおかーさんが、あんな憎悪のこもった目でうちにこんな事を言うはずが……!
夢だ……これは夢なんだ……! 早く……早く覚めないと……こんな悪夢! うちが好きな両親はこんな顔もこんな酷い事も言ったりしない!

お、おかーさんが……ほ、包丁を持ってきた。おとーさんもナイフを取り出して……!

「おまえなんか娘じゃない! この魔女がッ!!」

「ひっ!?」

刃物から条件反射で避けて、うちの身体が床に転げまわる。だけど右ひじに鋭い痛みが走り、まさかと思って恐る恐る見てみると……避けきれなかったナイフが掠めた裂傷で血が流れていた。ポタポタと流れるそれは床を赤く汚し、うちにこれが現実だと訴えていた。そのせいで、理性では理解したくないのに本能が理解してしまった。

両親はうちを本気で殺そうとしている、と。

「避けやがったか、魔女の癖に……!」

「大人しく殺されておけば良いのに……!」

保護者から襲撃者へと変貌した両親から、本能的にうちは必死に逃げた。二人を見ない様に走って玄関の扉を開け、夜闇に包まれる街の中を
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