星屑編 導入
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れた時に行く、街の外れにある小さな丘に向かっていた。そこには腰かけるのに丁度良い大きさの岩があり、寄りかかって夜に空に浮かぶ星を見上げると、心が落ち着くのだ。そこは太陽樹さまの結界の中ではあるが、自然豊かな町中と比べて外の荒涼とした光景が見えるので街の人も気味悪がって寄り付かない。そのおかげで一人になりたい時にうちはここに訪れている。
初めて避難しに来た時は、誰にも見られないことで心のまま感情を発露して大泣きした。魔女の力は忌み嫌われるものと理解して、両親にうちが魔女なだけで迷惑をかけているのだから、これ以上感情を吐露して負担をかけられない。だから甘えちゃダメ、自分で乗り切らないといけないと思っていた。
でも……世界の魔女に対する風当たりは厳し過ぎて、まだ10代の少女の精神では耐え切れるはずがなかった。
道行く人から罵倒されるごとに心が摩耗し、世界が灰色に染まる毎日。こんな辛い出来事しか無いのなら、生きてても疲れるだけだ……。そうやって人生に絶望しかけていた、その頃だった。
「おまえが“星読み”か?」
うちの見つけた秘密の場所に、彼がふらりと現れたのは……。
「……あんた、誰?」
生意気そうに目つきが鋭くて赤く、前に垂れる紫の髪。サイズが大き過ぎる藍色のマフラーを巻いて、一人前に黒くてごつい銃が入ったホルダーが腰にぶら下がった、身長から見て私と同年代らしい黒衣の少年が佇んでいた。
って、今の返事ダメじゃん。
街では見た事無いから恐らく外から来た彼にうっかり荒んだ態度で名前を尋ねてしまい、魔女の癖に自分から第一印象最悪にしてどうするんだ、と内心で後悔した。
「……サバタだ」
しかし彼はこちらのそんな気持ちなど無視し、無愛想に簡潔に答えてくれた。魔女と知りながらも対等に話してくれる人間、この人はそんな数少ない良い人だ。うっかり出だしは失敗したけど、何とかなるかな。
「それで、おまえが“星読み”なのか?」
「……うん、うちは“星読みのザジ”。…………魔女だよ」
「そうか。ならおまえの力を見込んで探してほしいものがある」
「異能目当てか……悪いけど、他を当たってくれる? もうこれ以上魔女の力を使って嫌われたくないから……」
「…………」
「せっかく尋ねて来てくれたのにごめん。でもわかって……」
「フッ……別に無理強いさせるつもりは無い。元々自分で探すつもりだったからな」
「ごめんなさい……あ、でもアースガルズの事ならたくさん話せるよ。ここに来たばかりなら聞いておいた方が良いと思うよ」
「そうか……なら聞かせてくれないか?」
そこからうちはこの街の歴史や良い所、どこに何があるか等を昔の思い出も含めて話していった。魔女の力が発覚する前の思い出がほとんどだ
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