祝福
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な。……リーゼロッテ、恐らくおまえが想像した内容は正しい。俺はもう年を越せない………この世界の行事であるクリスマス、せいぜいその辺りまでが寿命だろう」
世紀末世界で俺の身体は暗黒物質に侵されて、この世界に来てから薄らと自分の死期を察していた。それが今回の件で明確になっただけだ。
「な、何故!? 君は元々ヤガミどころか、この世界とも、そして今現在も裁判中のあのテスタロッサとも関係が無かった人間だ! それなのに……なのにどうしてそこまで他人のために自分の命を犠牲に出来る!? 君にも為したい事があったはずなのに、どうして!?」
「為したい事、か……実の所、俺自身もそれはよくわかっていない」
「なっ!?」
元々……俺は世紀末世界でジャンゴにパイルドライバーを使わせる時、既に死を覚悟していた。それが何の因果か全く異なる世界に放り込まれて、先日の戦いの果てに“彼女”を犠牲にして、こうして今も生き続けている。ラタトスクの行方が知れないのが気になるが、正直な所、色々限界だった。
「……もう未来が無い俺よりも、明日を繋げられるあいつらに生きててほしい。そのためなら残り少ないこの命、投げ捨てても構わない」
別に自棄では無い、そう決めたのだ……と告げると、リーゼロッテは握った手を震わせながら俯く。複雑な思いを吐露するように、彼女は小さい声で呟いた。
「…………何が“暗黒の戦士”だ……復讐に憑りつかれてた私達なんかより、ずっと真っ直ぐで強い生き方を貫いてるじゃないか……!」
真っ直ぐで強いか、別にそんな事を俺は考えていない。ただ、心のまま生きているだけだ。それが結果的にそう見えているだけだろう。……そうか、いつの間にか俺も、自分の弱さを受け入れていたのか……ジャンゴと同じように。
「今更敵討ちなんかしたって、何の慰めにもならない。それは最初からわかってたさ。それにお父様が大切な部下のクライドを失ったように、騎士達は大切な主の家族を一人失う。闇の書もその機能を失って、復讐は既に為し遂げられているんだ……ならもう、これ以上の犠牲を生む意味なんてない……」
「ああ…………おまえ達の任務はたった今終わりを告げた、これ以上心を闇に染める必要は無い」
「そっか……まあ、さすがに騎士達や管制人格への恨みは残ってる。だけどこんな覚悟を見せられたら、何も言えなくなるよ……」
「………」
「……一度、アリアとお父様の所に帰るわ。それで皆で今後の話をする。また来るね」
そう言ってリーゼロッテは転移魔法を使って姿を消した。しかし去り際に見えた彼女の表情は、複雑な気持ちを抱きつつも、前向きで力強い光を放っていた。後悔の内容を理解していた彼女は、もう負い目を感じるような真似はしないだろう。
さて、小さな復
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