祝福
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いた?」
「一度感じた事のある魔力が八神家の傍で漂っていたからな。臭ってしょうがなかったさ」
「え、私臭ってるの!? うそぉ!?」
クンクンと自分の服の袖に鼻を近づけて臭いを嗅ぐリーゼロッテ。コイツ本当に立場が高い人間なのか?
「あ、ホントに臭ってる……ここ最近お風呂入って無かったからなぁ……正面から指摘されるなんて、女としてショックだよ……」
自覚あるのかよ。そもそも体臭じゃなくて魔力の事を言ったのに、なぜこの流れになる……。
「ならさっさと前に言ってた任務でも済ませてゆっくりすれば良い」
「その任務が問題なの、つぅか気づいてるんでしょ? 私の任務が“闇の書”に関係していること」
「ああ、薄々」
「今日、一部始終を見てたわ。“闇の書”が起動して、守護騎士が現れた。これで彼女達は近い内に蒐集を始めるはずだった……でもそれはあなたの持つ暗黒の力の介入で崩された。闇の書の“原典”を無力化したあなたは、これからどうするわけ?」
「フッ……おまえこそ、わかってて訊いているだろう」
「はっきりはしてないけどね……まあでも、ぶっちゃけ今も自分の目を疑ってる。なにせ元凶とも言うべき“闇の書の闇を取り込んだ”のに五体満足で生きていられる人間が目の前にいるんだもの。今までまともな対応策が無かった管理局から見れば、あり得ない出来事だしね」
「それはそうだろうな、管理局は頭が固い連中が多過ぎる。暗黒ローンの借金を返そうとしなかった辺りからもその有様がうかがえる」
「あ〜あの取り立て強制労働ね……もううんざりよ、あんな地獄みたいな環境で働くの。またいきなり放り込まれるくらいならちゃんと借金を返済した方がはるかにマシよ……。でも、頭が固い連中が多いってのは本当だから余計タチが悪いわ」
顔に縦線が入って俯くリーゼロッテ。管理局の環境や常識は知らないが、果たしてその自己中心的な体制で長期運用できるかと言われれば、正直難しいと言えるだろう。ま、必要以上に関わるつもりが無い俺にはどうでもいいが。
「そ、それよりあんた、“闇の書の闇”を宿して本当に何とも無いワケ? あれは猛毒すら生温い劇薬のようなもの、いくら魔力を消し去る力を宿している君でも影響が必ずあるはずよ」
「………………なら当ててみろ、おまえなら答え合わせをしても良い」
「果たしてそれは喜べるものなのかねぇ……ま、当ててみるけど。……え〜っと? 度重なる改悪の結果、闇の書は主を食い殺す仕様になっていた。今回はヤガミの足を麻痺させる形で表れていて、蒐集を行わなければそれが心臓にまで達する仕組みだった。その仕組み自体を取り込んだという事は………はっ!? と……という事は、まさかあんた……心臓が……!」
「……優秀過ぎるのも考えものだ
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