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リリなのinボクらの太陽サーガ
祝福
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サバタ兄ちゃん、それ訊くって事は、何か案でも考えたん?」

「一応な。要領は基本的にアリスの時と同じだ」

「偽名を使うってわけ?」

「そうだ……安直な案なのは百も承知だが、表向きに書の名前を変える事で、おまえ達が“闇の書”と“夜天の魔導書”に関係が無い存在に偽装したいわけだ」

「……なるほど、そういう事ですか。管理局に私達の存在が嗅ぎつけられたとしても、これが“闇の書”では無いと信じ込ませる事が出来れば、あるいは……。いや、しかし……闇の書の柄やデータはきっと記録されています。映像などで照合されれば、間違いなく断定されます。それに関しても何か考えがあるのでしょうか?」

「ああ。俺だって本物を偽物と言い続けるのは、どうしても無理がある事ぐらい考えが及んでいる。だから完全に無関係にするのではなく、ある程度の関わりを持たせる事で信憑性を抱かせる」

「あ! そゆこと! つまりこの本を上手い事“闇の書”のパチモンって設定にするわけやね。じゃあそこは私に任せてくれへん? イイ感じに砕けた名前なら思い付きやすいし!」

はやてが妙に自信たっぷりにそう言うので騎士達に、彼女に任せて構わないかと訊くと全員承知してくれた。俺も自分にネーミングセンスがあると思っていないため、彼女に偽名は託すと決めた。
託された事でどうやって面白い名前をつけようかと考えるはやて。とりあえず俺は緑茶の葉に淹れるお湯が沸いたため、台所に行ってヤカンに点けていた火を止めに行く。

「夜天……ヤテン……ヤカン……夜間? お! ええ名前思い付いた! これからこの本は“ヤカンの書”や!!」

『主ェ……』

「ヤカンで名前を思い付くのはアリなのか……?」

こうして“夜天の書”改めヤカン……“夜間の書”といういかにもパチモン臭い名前が、意外とアッサリ決まったのだった。カタカナにした途端、一気に間抜けになるのがいかにも偽物らしい名前で、当初の狙い通りではあるのだが……もうちょっと何とかならなかったのだろうか。






はやての誕生会も俺が予約したケーキの件で色々騒がれたり、シグナムとザフィーラが困惑しっ放しだったり、ヴィータとシャマルがすぐに順応して楽しんだりして一応無事に終わり、勉強会から手伝ってくれたなのは達も自分の家に帰った。そして紆余曲折ありながらも皆が幸福のまま寝静まった深夜の頃合いに、俺は一人、外の月明かりの下で佇んでいた。

いや、一人ではないか。

「…………いるんだろう? “ねとねと”」

「だから“ねとねと”と呼ばないでって前に言ったでしょ……!」

そう言って俺の傍に現れたのは、リーゼロッテ。彼女は呆れたような、それでいて揺らがない意思のこもった目で見つめてくる。

「なぜ、私が見張ってるって気づ
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