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リメインズ -Remains-
1話 「イン・ザ・リメインズ」
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やけに強いっ!!」

 セリアは冷や汗を隠せないまま次々に弓に矢をつがえて発射する。
 神秘数列を掘り込んだ矢が氷結属性を帯びて飛来した。イメージ通りの放物線を描いた矢は植物魔物の身体に刺さって一部を凍らせ、スライムの身体も凍らせる。その隙に皆はなんとか魔物を退けて苦戦していたモニカの加勢に加わった。

 魔物は待ち受けていたように一斉に、最も相性的に有利な相手を狙って奇襲を仕掛けてきた。
 今までの魔物と言えば、無造作にうろついたり巣に籠っていたりする連中だった。こちらが仕掛ける側で、魔物は襲撃される側という優位な構造が存在した。
 それが、戦いが始まった途端にこれだ。
 あっという間に追い込まれて消耗アイテムをかなり削られてしまった。何とか勝てそうではあるが、既に装備品の一部を失っている仲間もいることを考えれば素直に勝ったとは言えない。

 残った茸型の魔物は増殖しながら襲ってきたが、皆で一カ所に追い詰めて炎の神秘術で焼き払うことで片が付いた。だが勝利の余韻はなく、終わった頃には全員が息も絶え絶えだった。

 ――リメインズという空間を甘く見ていた。

 それが全員の共通認識になった。

「まさか第一層の最初の勝負で……ここまで追い詰められるなんてな……」

 膝をついて肩で息をしながら項垂れるメンフィスに、全員が口には出さずとも同意した。

「モンスター側の奇襲は考えてなかったな。セリアの援護がなければ立て直せなかったぞ、これ」
「フォーメーションを、考え直す………術の先制攻撃で動きを崩す」
「直ぐに位置交代が出来るように広めの陣形がいいか?」

 苦戦の中からでも勝利を拾うためには、思考を止めてはいけない。全員で意見を出し合って次に備えることが肝要なのが魔物との戦いだ。次に攻められたときに全滅という最悪の事態を防ぐために、勝率の高い戦法を模索しなければいけない。
 だが、話し合う中でふとセリアはある事に気付いた。

「あれ?――ブラッドリーさんは?」
「俺を呼んだか?」
「ひゃあッ!?」

 真後ろから突然かかった声にセリアは驚きの余り飛びあがった。
 気が付けば背後からお目付け役のブラッドリーが見下ろしていたのだ。無表情に見下ろす彼の顔には奇妙な迫力があり、セリアはびっくりしすぎて腰を抜かしていた。情けない姿を見せてしまったことに羞恥心がこみ上げる。
 ブラッドリーはそんな姿に眉間のしわを深めつつ、手に持った剣を背中の鞘に納めた。

「話し合いは大いに結構だが、リメインズは一部の建物を除いて魔物襲撃の可能性が常にある。話し合いならこの先の建物の中でやれ」
「は、はい!アドバイスありがとうございます!」
「あ、これか。地図に『セーフゾーン』って赤字で書いてあるね」

 皆が
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