1話 「イン・ザ・リメインズ」
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「………なんか、舐められてる」
背中から弓を取り出して弦の具合を確かめながら、セリアは不機嫌を隠そうともせず呟いた。
本職のマーセナリーだか何だか知らないが、マーセナリーでも冒険ギルドでも魔物と戦う点では共通だし、踏んだ場数と魔物の種類なら自分たちも負けてはいない。彼はきっとそれを侮っている。
「こうなったら目に物を見せてやるんだから……!泣いて参ったというまで魔物を狩り尽くしてやるわっ!!」
「ま、まぁまぁ落ち着けって。落ち着いて敵を見極めて倒していけば問題ないだろ?」
「そうそう、焦って前へ出過ぎたらそれこそ危ないぜ。俺達には俺達に出来ることからやっていこうよ!」
それぞれの武器を手に皆は森へと向かう。皆は彼のあの態度をある程度割り切っているらしい。
どうにも自分が舌に見られているのは腹立たしい。虫の居所が悪いまま、セリアも皆に続いた。後衛であるセリアはこのギルドの要とも言える存在だ。
(馬鹿にして!私の本気を見せてあげるんだから……!)
必ず実力を見せつけて見返してやろう。そう決意しながら、セリアは皆の後を追って地下の森を駆け抜けた。
= =
短剣二刀流の速度自慢、オルト。
片手剣とバックラーで戦うリーダー格のメンフィス。
彼とは違って剣一本に拘る女剣士、イルジューム。
料理好きで力自慢のメイス使い、ガブリアル。
無口な槍使いの女術師、モニカ。
そして、セリア。
出身種族にはバラつきがある。オルトは猫種だしガブリアルはヒト種と巨種の混血だ。
セリアもまたエルフェムという尖耳種の出身。
ちょっとずつ思想も出身も違うチームだが、今までそれが有機的に機能して敵を退けてきた。
この皆となら戦えると思った。
どんな敵も怖くないと固く信じた。
苦しくも楽しい冒険を潜り抜けてきた。
だけど――ここは何だ?
「クソッ!?何だこいつ、一体何本触手があるんだ!」
「バックラーが融解した……!?まずい、強酸か!?」
「下がれメンフィス!おい、モニカ!術で吹き飛ばせるか!?」
「だめ………茸の化け物が増殖してて、抑えるので精一杯……!」
踏み込んでから間もなく押し寄せてきた植物系の魔物に、装備品が破壊されていく。
「おのれ、このスライムめ一体いくつの核があるのだ!?これでは殴っても殴ってもきりがない!」
「チィッ!!爆裂弾を使うよ、下がりなガブリアル!!」
「イルジューム!爆裂弾は残りいくつだ!?」
「これで最後だよっ!倒しても倒してもキリがない……!」
戦闘用アイテムの消費が激しい。このままじゃ長く持たないどころか、魔物に押し負ける。
「何よここ……!?数は大軍というほどでもないのに、一匹一匹が
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