2話 「汝、覚悟ありや?」
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なダメージを与える事が出来る。
その速度を速め、目に入った魔物に的確に命中させる。矢束の残数はそれほど余裕がないが、出し渋っては皆の負担がさらに増える。
だから出来るだけ正確に、的確に、もっと素早く。
皆の素早い斬撃や打撃で魔物は次々に倒れ、7体近い魔物は瞬時に全滅した。
だが、振り返ればそれより多い数の魔物をブラッドリーが仕留め終えて待っていた。
「……まだ遅い」
自分に言い聞かせるように呟く。
ブラッドリーは遊び半分ならば帰れと言っていた。つまり、今のセリアは遊び半分の戦士だと言われているも同然だ。そして、事実セリアは覚悟が足りていなかった。いや、今はきっと実力も足りていない。
だがそれが逆にセリアの心に火をつけた。
今までの冒険に退屈していた?プライドが傷ついた?そんな半端な思いで戦っていたからあんな言葉をぶつけられたんだ。
ならば、本気で強くなればいい。強くなって、あのヒトに戦士として認められたい。
久しく忘れていた強さへの渇望が、段々と弓の狙いを鋭く研ぎ澄ましていく。瞳に映るターゲットを仕留める鷹の目が、次々に魔物を貫いていった。
「やけに気合が入っているな、セリア」
「ガブリアルは気合入らない?私はなんか、初めて弓を習い始めた頃を思い出す気分だよ」
「お、おう……」
普段はごつい体格の割に口の軽いガブリアルが口ごもった。
「お前……もしかして本気でマーセナリーになろうとしてないか?」
「なぁに?もう諦める気なの?まだ試験は終わってないんだから最後まで諦めちゃ駄目でしょ!」
「気が強いねぇ……俺は正直、あのブラッドリーって兄ちゃんが言うようにそろそろ退いた方がいいと思うんだが」
彼にしては珍しく弱気な発言だった。いつも防御力が高く固い敵に自慢の剛腕を振るう彼の豪快さは、今は少し鳴りを潜めている。モニカとメンフィスもどこか疲労に加え、消極的な動きが目立つ。
――皆、もう諦める気なの?
自分と周りの温度差に気付いたセリアは、急に自分の中で燃えていた熱に冷水をかけられた気分になった。
てっきり皆も自分と同じように、彼に認められたいと考えていると思い込んでいた。長く一緒に戦ってきた戦友だ。同じ思いで戦っていると信じていた。
自分はマーセナリーという道に冒険を見出した。戦いの道という終わりなき冒険を。
だけど皆はそっちに行きたくないらしい。
ギルドに参加してから初めて、ギルドメンバーと自分の歩む道が別れた。
そしてその一瞬の思考停止が、大きな隙になってしまった。
「ガブリアル!セリア!逃げろぉぉぉーーーッ!!!」
「えっ――」
気が付いたその時には――既に遅かった。
次の瞬間、セリアは凄まじい力で弾き飛ばさ
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