2話 「汝、覚悟ありや?」
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だ。
だが、神秘術の技術を大昔から所有している種族はその殆どが術を秘匿し、外界との接触をほぼ断っている。いわゆる文化独占と呼ばれる技術秘匿の所為で、世界的には未だに解読できていない神秘数列が数多い。
「エルフェムの民が神秘術に長けているのは、エルフェムの先祖がその文化独占国から派生した種族だからだ。知識の全ては受け継いでいないが、解析や応用のノウハウは残っている。審査会はそんな種族に解析依頼を送っては、その結果を超国家会議に伴って行われる技術発表会で世界にばら撒き、魔物討伐の糧にする………ではその未発見未解読の神秘数列はどこから持って来るのか?」
今まで素っ気なかった彼にしては婉曲な物言いだ。期待する応えに気付くのを待つ教師のようだ。しばし周囲が黙考する中、メンフィスが躊躇いがちに言う。
「それがマーセナリーの仕事……ってことですか」
ブラッドリーは小さく首肯し、続けた。
「そうだ。俺達マーセナリーがここに潜って過去の遺物を発掘する。マッピングも魔物を狩るのもついでに過ぎない。俺達の仕事は遺跡に踏み込み、生き残って古代遺産を記述・物体に限らず全て持ち帰ること。持ち帰った遺産を審査会が高額で買い取り、その時の金だけがマーセナリーの収入になる」
「でも、それじゃあトレジャーハンターと変わりないんじゃ……?」
「そうだぜ。やってるのことはトレジャーハンターと一緒だ。なのに何でマーセナリーになるのに試験が必要なんだ?」
トレジャーハンターはダンジョンや遺跡に潜ってお宝を発見し、それを売り捌くのが仕事。マーセナリーの業務つぁほど違いはないように思える。だがブラッドリーは首を横に振った。
「リメインズが内包する財産的価値は確かに計り知れない。だが――そもそもリメインズは魔物の巣窟だ。いや、『発生源』と言ってもいい。誰かが出入り口を管理しなければ、宝に誘われた馬鹿どもが迂闊に踏み込んで魔物に食い潰される」
リメインズに眠る情報の価値や量は、その辺のダンジョンが持つそれを遙かに凌ぐ。中には魔物との戦闘を一変させるような発明や、常識を覆した技術革新もあった。それを文化独占できれば――その国はどれほどの栄華を極めるだろうか。
かつて、そう考えた馬鹿な国の国王が全ての兵士をつぎ込んでリメインズを攻略しようとした。
最初は上手くいった。5層ほどまでは事実、上手くいったそうだ。様々な文化的革新を前に国は大いに色めきたった。
だが、彼ら派遣された兵士は最終的に壊滅した。
当初彼らは一層ずつ魔物を全滅させながら進めば犠牲は出ても最後には攻略できると考えていた。
だが――5層まで主力師団が到着した時になって、上層で全滅させたはずの魔物が大量に増殖して出現した。続
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