2話 「汝、覚悟ありや?」
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それを聞いて頷くと、先導するように前へと歩きはじめた。
「お前ら、体力もそうだが集中力も大分消耗しているだろ。ここからセーフエリアまで俺が前に出るから、奇襲を受けないことだけ警戒してればいい」
「………なんか、意外と面倒見がいいなアンタ。もっと感じ悪い奴だと思ってた――ムグっ」
「おいちょっとオルトぉ!?あんまし失礼なこと言うなよお前!これが試験だって忘れてないか!?」
余りに不遜なことを言うオルトにメンフィスが大慌てで口を塞いだ。だがブラッドリーの方は気にした様子を見せない。
「気にしていない。………現役の冒険ギルドをリメインズ内に入れた挙句死なせたとあっては俺の信用に関わるし、ギルドと審査会の間でもいざこざが起きる。マーセナリーになるならないは別として、お前らもここで死にたくはないだろう?」
それだけ言い残すと、ブラッドリーは剣を構えたまますたすたと歩きはじめた。
「ねぇセリアちゃん、気付いた?」
「え、何が?」
ふと、イルジュームがこそっと私に声をかけた。互いに目線は敵を警戒したまま会話を続ける。
「あいつ、地図も無しに正確な方向に歩き回ってる。時間も時計なしで把握してた。いくら潜り慣れた場所だからって、これだけ目印の少ない場所で地図なしなんて普通じゃ考えられないわ」
「ということは……それだけこの場所に来るのに慣れてるってこと?」
「かもね。ひょっとしたら私達みたいなのを世話するのに慣れてるのかも」
だとしたら、彼は今までもこうして初心者にリメインズという場所を教え込んできたのかもしれない。仕事とはいえ決して楽ではないその依頼を多く受けているとは、面倒くさそうな態度を取っていながら意外と人がいいのかもしれない。
(わたし、何だったらあの人に勝てるんだろう……マーセナリーって凄いや)
戦士としては少々恥ずべき事だが、その背中に歴戦の雄姿のような安心感を覚えてしまう。
セリアの心の中でまた一つ、ブラッドリーへの想いが憧れへと傾いた。
= =
「――元々は、その矢じりに刻まれた神秘数列もリメインズで発見されたものだ」
ぽつり、とブラッドリーは呟いた。
セーフエリアで食事を終えて小休止をしていた一同が耳を傾ける。
「神秘数列って、神秘術を発動させるときに使う数列式ですよね?大気中にある根源霊素、『神秘』を取り込んで、それを媒体に術が起こす現象を定義づけるという……」
「そうだ。そしてこの世界に現存する神秘数列の7割以上が、リメインズから発掘された古代の数列を解いて構築されている。武器に属性を付加するのが発掘されたのは……たしか300年ほど前だったか」
神秘術は、国にもよるが既に生活レベルにまで溶け込んだ人類の英知の結晶
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