2話 「汝、覚悟ありや?」
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フォーメーションの見直しは上手く機能した。
まだ消耗は激しく、術師であるセリアとモニカの負担は増えたが、なんとか対応できていた。
だが流石に何度も戦闘が立て続けに起きると、流石に皆が自分たちの背後で繰り広げられる一方的な虐殺に気付いてくる。
自分たちが5体前後の魔物を狩っている間に、同時に仕掛けてきた魔物と音を聞きつけて近寄ってきた魔物を薙ぎ払う剣士。その大剣を片手で振り回しながらもこちらより確実に速く、そして確実に敵を仕留め、気が付いたら自分たちの後ろに戻ってきている。
異常なまでの実力。異常なまでの余裕。小さな傷を無数に負っているギルドメンバー達よりも多くの役割をこなしながらも怪我ひとつしていないその様を見る度、実力差を思い知らされたかのように上がった士気がストップをかけられる。
自分たちの苦労というのはつまり、マーセナリーならばとっくの昔に乗り越えていなければいけない段階なのだ。全員が薄々感付いている――このままでは試験に合格できない、と。
そんな中でセリアだけは、密かにブラッドリーに興味をそそられていた。
まるで幼い頃に祖父から聞いた退魔戦役の古強者を連想させる、他を寄せ付けない圧倒的な実力。あの時代の戦士たちは、たった一人で100もの魔物を屠るような戦士が多くいたという。
きっと本当の戦士というのはああやって余裕を見せるのかな、と勝手な妄想をして、自分もそんな風になれたらという憧れを抱く。
と、ブラッドリーが不意に立ち止まった。
「――そろそろ昼だな」
「えっ?もうそんなに経っていたんですか?」
「うおっ、本当だ!もう12時を過ぎてやがる……」
時間確認のために高級品である携帯時計を確認したガブリアルが驚く。
言われてみれば確かに空腹感を感じる。いつのまにか昼になっていたらしい。しかしなぜ今まで気付かなかったのだろう、とセリアは不思議に思った。だって普段ならば太陽や温度の変化で何となく分かるのに――と疑問に思い空を見上げたセリアは、そこではたと気が付いた。
「あ……そっか。ここ太陽がないから時間間隔が狂ってたんだ」
「そういうことだ。感覚が狂ったままリメインズに潜ると生活リズムが崩れるし、感覚が狂うと残りの体力や筋力まで見誤ることになる。これもリメインズの厄介な所だ……この先にあるセーフハウスに行くぞ。食料は持っているか?」
「え、ええ。テレポットに放り込んでありますんで大丈夫です」
テレポットというのは、簡単に言えばその内部に擬似拡張空間を生み出し、小さな体積の入れ物の中により多くの物を詰め込める機能を持ったアイテムの事だ。このアイテムが生み出されてから世界では荷物の持ち運びが今まで以上に容易になり、ヒトは大いに助けられている。
ブラッドリーは
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