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ヴォルデモート卿の相棒
ダイアゴン横丁
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ダイアゴン横丁は、魔法使いや魔女が必要とするありとあらゆる魔法道具が売られている通り道である。
ロンドンにあるパブ「漏れ鍋」の裏庭にある壁の特定の煉瓦を杖で叩くと、ダイアゴン横丁に入ることができる。
マグル(魔法使いではない人々)から隠れるようにして存在しているその横丁に行くには魔法的手段を用いない場合、認識阻害魔法がかけられているパブ『漏れ鍋』の裏庭を経由しなければならないため、この通り道はマグルから完全に隔絶した世界と言える。
そんなダイアゴン横丁を、二人の少年少女が散策していた。

少女の方はウェーブのかかったセミショートの金髪に、薄いブルーの瞳の非常に整った顔立ちをしている。
誰が見ても敵意を感じさせないあどけない表情で辺りの物を興味深そうにキョロキョロと見回す様子は、上京したてのおのぼりさんを連想させる。

少年の方は艶のある黒髪をした、これまた非常に整った顔立ちをしているのだが、何よりも目立つのは彼の鷹のような鋭い眼だ。目を合わせた人を無条件に威圧するその目つきは、嫌が応にも他者を怯えさせるか、警戒心を抱かせる。腰に差した小太刀(小型の日本刀)も相俟っていかにも「殺る気満々」といった風貌である(強い認識阻害魔法がかかっているのか、小太刀のことは誰も注目しないが)。
まるで興味ありませんと言わんばかりの眠たげな表情で周りのことなど目もくれていない。
ありとあらゆることが対極なこの二人だが、二人仲良く目的の場所へ向かっている。

「わぁっ! すごいね〜、ドラゴンのきもだって! でも高いな〜……」
「そうだな」
「あっ、フローリアン・フォーテスキューだ! 今度食べに行こうよ!」
「そうだな」
「……あっ! ニンバス2000発売したんだ!……でも私は飛ぶの苦手だしなぁ」
「そうだな」
「…………1368年に成立した中国の王朝は?」
「明だな」

少女が話しかけてもことごとく生返事で返す少年だが、軽い引っかけ問題を難なく答えられるあたり、どうやらちゃんと聞いた上で適当に返事をしているようだ。

「もうっ! ちゃんと聞いてるなら適当に流さないでよクレス!」
「うるせーなアレク……眠いんだから仕方ねぇだろ」

膨れっ面で少年・クレスを軽く責める少女・アレクだったが、クレスは眠そうにあくびをしたまま全く取り合わない。

「……つーかよぉ、ジークの奴はいつの間にどこ行きやがったんだ?」
「あっ、ジークなら『フローリシュ・アンド・ブロッツ書店で気になる本をいくつか見つけたので先に済ませておいてくれ』って言ってたよ〜」
「……またかよあの本の虫は。なあアレク、この先あいつが死んだらあいつの墓標は古本で組み立てようぜ」
「なに言ってるのクレス!? 冗談でも死ぬとかそういうこと言っちゃダメだよ!」
「誰がすぐ
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