プロローグ改
[1/6]
[1]次 最後 [2]次話
その星――住民たちに『ロータ・ロバリー』と呼ばれる世界では、「退魔戦役」と呼ばれる戦争が何度も繰り返されていた。
星の何処からか湧き出ては文明を破壊する「ヒト種の天敵」、魔物。
それに対抗して結集した、この星のヒト種たち。あるいは宗教か国家、もしくは思想の集合体。
だがそれは正面切った生存競争などではない。人類は完全に負けはしなかったが、魔物の軍勢を無事に退けられたことは一度もなかった。
無尽蔵に湧き出る魔物の暴力と、暴力的なまでの数に耐える。もとよりヒト種に勝利と呼べる条件はなく、敢えて言うなら「生き残れれば儲けもの」。戦役と呼ぶのも烏滸がましい一方的な蹂躙。
その戦いは熾烈を極め、人類が築いた文明は幾度となく破壊され尽くした。魔物は数百年周期で突如爆発的に発生し、その時期を過ぎると発生量は目減りしていく。滅ぶ寸前で堪えたヒト種はまた文明を築き、次の大量発生に備える。これが退魔戦役と呼ばれるものの実態だった。
壊れては再生し、再生してはまた壊れる。
無限に続くかのような戦いの中で、ヒト種は文化・技術的に成長を続けていった。
大気中に溢れる『神秘』というエネルギーの知覚。
古代技術である『神秘数列』と、それを応用した『神秘術』の発達。
からくり仕掛けのマシン、『機械』の復元。
世代を重ねれば重ねるほどに洗練されていった文化は、次第に人類は魔物の大進行から身を守る術を増やしていった。
何千年と続いてきた退魔戦役も少しずつヒト種が押し返し、30年前の退魔戦役ではとうとう9割近くの国が社会や国力を破壊されないまま魔物の撃退に成功した。これは人類史に歴史を刻む快挙であり、ヒト種繁栄期の始まりだと人々は大いに喜んだ。
そして、この勝利の影には時の英雄たち「六天尊」の奮戦と、ある危険な職業の存在があったことをここに明記しておく。
魔物の発生源にして古代技術の宝庫である「リメインズ」の探索を行い、ヒト種に多くの技術を持ち帰った名もなき英雄たち。それこそがマーセナリーである。
――『ロバリー現代史』序文より抜粋――
= =
幾度となく、繰り返し垣間見る夢がある。
セピア色に染まった映像の断章。
まるで忘れるなと警告するように何度も何度も見せられるのに、俺には何の夢なのか思い出せない。
いつも見物席から演劇を見下ろすように、ただそれを見せられる。
一人の男が慟哭していた。
破壊しつくされた小さな村。血に染まる大地。
魔物を狩り尽くし、同時に狩り尽くされた兵たちの骸。
胸元に真紅の剣が突き刺さった一人の女を胸に抱き、男はただひたすらに慟哭していた。
女には
[1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ