第18話 She is Rana Linchen 2
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「56%……か…」
町外れの小さな病院。カエル顏の医者は、カズトの検査結果が書かれている紙を眺めていた。
実はこの男、カズトの義祖父であり、パンドラの生みの親でもある、アオイ・源吾の友人なのだ。腕が優秀で当然である。
「本当にそうだったらいいんだけどねぇ……」
一つため息をつき、椅子から立ち上がる。
検査結果には、56%などという半端な数字など何処にも書かれておらず、そこには、『65%』という残酷な結果が出されていた。
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最高だ。最高すぎる。
あの、サテライザー先輩とコンビを組む事ができた。きっと、宝くじ六億円とかあたったなんて目じゃないくらいに最高だ。これで三年はどんな不幸にも耐えられる。
だが、それには条件があった。
洗礼も、イレインバーセットもしない。
それが条件だった。そのくらいならば全然平気だ。今までの不幸なんて、比じゃない。
「本当に?」
ゾクリと、背筋に悪寒が走る。それは初めて聞くものではない。
先日、イングリット先輩と戦った後にも聞こえて不気味な声。
「どうしてお前は欲しがらない?」
「誰だあんたは??」
声のする方を振り返る。だが、そこはいつもの自室ではなく、不気味な赤と黒のタイルが張り巡らされた個室だった。
「なんだ…ここ。」
「まあまあ、そう驚くなよぉ。」
未確認の声がまた聞こえた。“下”から。
声の主を見るために、恐る恐る目線を下げる。もしかしたら、見ないほうがよかったのかもしれない。
「よぉ、相棒。こうして会うのは初めてかぁ?」
「……小鬼?」
そこにいたのは、赤い二頭身の小鬼がいた。二本の山羊のようなツノを生やし、顔はファンシーとは言いがたい薄気味の悪い笑みを浮かべている。だが、服装だけはこの部屋に会っており、黒のスーツと言う大人びたものを着ていた。
「おいおいどうしたぁ?惚けたツラしてよぉ。」
「いや、お前見たいのが目の前に現れたらだれでも惚けたツラするさ。」
「それもそうだなぁ。」
と、気持ち悪い笑みを浮かべてうなづいた。一体なんなんだこいつは……
「で、さっきの話の続きだが。なぜお前はそんなに欲しがらない?」
「なんの話だ。」
小鬼の質問に俺は質問で返す。だが小鬼の表情に困った様子などなく、ただニタニタと不愉快に笑うだけだ。
「どうしてそんなに欲が無いんだって聞いてんのさ、俺は。」
「……別に。欲なんて、あっても意味ないだろ……」
そう言うと、初めて小鬼が表情を変えた。心底不愉快そうな、憤慨しているような、そんな表情だ。
「つまらねぇなぁ??そんなんでいいのかぁ?欲望ってのは、どんな人間にでもアルモノダロォガァ??
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